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僕が山をはじめて

僕は登山をはじめて17年だか18年だかになる。一生山を続けられたとしても、 山行回数的にいえばそろそろ人生の折り返しと思う。


僕ね、すごくシアワセな気分でいます。歩いている山名なんかどうでもよくて、 ただ、山を歩いてさえいればなんとなく幸せになれるように思います。 僕は、 登山を山頂という点で見た場合、代表的な三百名山の二百までは登っていない ようだ。けれども、今後完登してやろうとかは微塵も思ってない。


どうしても登りたい山、というのは、とんとなくなった。2005年頃は千キロ 離れたあの山も登ってやろうとかギラギラしていたけど、もうそんな気持ちはな い。だけれども、漠然と登りたい山はいくつか挙げられると思う


天上山は今登りたい山の最右翼だと思う。ここ5年くらい狙ってはキャンセルを 繰り返しているが、来年こそはぜひに、と思っている。二王子岳も登りたい山の 1つだ。百名山の完登を果たした飯豊という山の展望台には1度登らねばならな いと思っている。


百名山は、僕の山歴において、ある程度の地位を占めていると思うんです。やっ ぱり共通の話題として百名山の話は出ることが多い。大烏山がどうこう、とか、 恵林寺山がどうこう、とかよりは、圧倒的に劔岳や幌尻や白馬の話をすることが 多いのは、これはもうどうすることもできない。そんななかで、


「僕は飯豊で完登だったんですけど、一升瓶背負ってって、小屋に同席したみん なにふるまって、それで最後は酒が足りなくなって小屋番の酒までとりあげて飲 んだ」って話は、何度したかわからない。だけれども、次は二百ですか?って聞 かれたときは、「それは絶対にないです」って答えてる。


百名山の、完登なんかはどうでもいいことだけど、完登に際してどれだけ面白い ことができたか、完登で何を学んだか、というのは重要なことのような気がしま す。そういうことが、言葉の端々から出てくる人の完登ってのは、百名山ごとき の話でも面白いんだよ。


僕は、登山を山頂という点「だけで」見ることに抵抗があるの。百名山は一過性 の熱病みたいなもので、やっぱり多くの人が1度は夢見るものだと思うんです。 ピークを踏むということは登山において神聖な行為だと思うのですが、だけれど もピークだけで山語りをしてほしくない。


やっぱり山ってのは、尾根があって谷があって、そこにいろんな登山道があって なりたっているものだと思うんです。登山というのは、山を点で見るのではなく 線で見て、面で見ないといけないと思います。最短ルートからピークを目指し続 けるだけの登山というのは卑しく貧しいと思うのです。


これから百名山をやろうという人には、なるべく山というものを点で見ずに、広 く線で面で見て欲しいと思うんだ。そういう具合にして登った山は記憶に残って いるし、単にピークを追いかけただけの山は、今ちょこっと文章を書こうと思っ ても書くことができない位記憶に乏しい。


僕は百名山については肯定も否定もしない。本気でやっている百名山は美しいと 思うし、なんとなく中途半端にやっている百名山は中途半端に見えるもんだ。だ けれども、その「質」は僕は見定めている。この人の百名山は唸らせる、という のもあるし、この人の百名山はつまらんな、ってのもある。


百名山で差がつくのは、白馬、常念、あと大菩薩あたりだろうと思う。百名山を 完登しようとしたときに、すべての山に丁寧に登ることは難しいだろうと思うん だけど、白馬みたいにコース取りの妙を楽しめる山で、大雪渓から往復しました、 みたいな百名山のハナシは、僕はいいやと思っている


僕ね、百名山やる人は、話を仕込んでおいた方がいいと思うんですよ。どうせ、 聞かれるんだから。話す機会の2度3度はあると思っていい。そのときに、どの 山の何を、どう面白おかしく話せるかで、その人の百名山の印象ってのは変わっ てくるように思う。


百名山以外でいうと、2つの「太平洋日本海」は思い出に残っている。1回で いった太平洋→日本海、と、分割で行った日本海→富士山→自宅→太平洋→日 本海。海から海へ線をつなぐのは割と手垢がついていると思うのですが、それ でも百名山ほどではない。


太平洋→日本海、と歩いたのは、僕の人生にとってエポックだったし、まあ、 一生抱えて生きていくんだと思うんだ。あれは百名山以上に印象的だったし、 大変だったと思う。できることなら、もう1度やってみたい。やってみたい が、もうそういった山行は許されないのだと知った。


僕の山行を豊かにしたアイテムに、土鍋がある。たぶん、土鍋を背負って山へ 行ったことがある人は、そうはいないと思うんだ。僕はけっこう年中土鍋背負っ て山歩いていたけど、あれはホント同行者に喜ばれたし、楽しかったと思う。 いつまで背負えるかはわからないけど、背負える限り頑張ってみよう


長期縦走ってやつは殆どカレーで過ごすことになる。悪いとはいわないけど、 やっぱり「山で食べるおいしいもの」というものはありがたいと思うんです。 長期縦走ってやつを何度もやって、重さの意味と軽量化の大切さを知ってる から、山で食べられるということのありがたさもわかるのではないか。


僕の中で記憶に残っている山行、というのは、やはり長期の縦走が多いように 思います。さらっとやった14日間の南ア全山よりも、はじめて南へ入ったと きの北岳→上河内の方が記憶に残っている。雨にたたられた谷川馬蹄平標、稲 包平標とか、期間よりも、どれだけしんどい思いをしたかが記憶の中心


だもんで、登山ってものは、死なない程度にしんどい思いをした方がいいんだ と思うんです。単に楽しかっただけの山行はなんとなく忘れていくけど、しん どかった山行ってのは、一生ものの思い出になるような気がします。


僕にとって、山小屋とつながったことは転機だった。忙しい時期は山小屋の手 伝いをする。山小屋の手伝いなんか、おカネ払ってもなかなかやらせてもらえ ないだろうし、それを経験したってのは、僕にとっては山行史をどれだけ豊か にしたかわからない。


山小屋アルバイト経験者さんにはちょっと後ろめたい気分になるが、それでも 責任なく自由にやらせてもらっているし、大手山小屋のアルバイト以上にいろ んな仕事ができる、という意味でも、この地位には非常に満足している。そう いえば、山小屋アルバイトもしたっけ。10日間だけ。


けっこう夢見てアルバイトに入ったんだけど、どうにもオーナーと相性が合わ なくて、下山させるよ、ばかり言うもんだからヤになってホントに下山してき ちゃった。ま、今考えると雇われオーナーごときに下山させる権限なんかなかっ たし、もう何日か耐えれば一夏勢いでいけたんだろうね。


だけど、あそこで一夏乗り越えちゃって、本当に山小屋に取られちゃったとし たら、たぶん、人生は変わっていた。山小屋ってのは夏忙しいから、夏山に行 くのは難しい。あのまま山小屋に取られてしまったら、こんなにも山というも のを経験することはなかったのだろう。


僕は、日本で唯一の甲武信岳を専門で撮っているアマチュア写真家、を標榜して いる。実際にはどうかわからないけど、看板にそう偽りはないだろうと思う。 すくなくとも、甲武信小屋に年中出入りしているカメラな人は、僕以外にいな いようだ。


日本山岳会の会員になりたかった時期があった。あったが、結局かなわなかっ た。紹介してくれそうな人の2人3人はみるかるのだが、1人は理事、という 条件でひっかかる。そうこうしているうちに、日本山岳写真協会の会員になる ことができた。


こちらは紹介とかではなくて、完全に写真の実力で入会するはこびになったの で嬉しかったですね。甲武信で撮った写真はなかなか認めてもらえない感じで すけど、甲武信の写真は甲武信の写真として、他山域は他山域で、いろいろ撮 り続けていこうと思っている。


小屋番ってのも人の子だから、1回いったらそれっきり、という人にはお客さ んとしての扱いだけど、そこから深くつきあおうとしたら、お客さん以上の対 応をしてくれるもんだと思う。それは、そんなに難しいことじゃないと思うん だ。

忙しい時に行けばそれなりの対応だけど、ヒマなときに、手土産持っていけば、 だいたい小一時間は話し込むことになるだろう。よほど人嫌いな小屋番でなけ れば、覚えててくれるもんだ。それを3回も繰り返せば顔なじみみたいなもの だ。


あまり人のいかない南アの稜線の小屋で、後105L前5Lのザックを背負っ て泊まったことがある。南アでも異様な大きさの荷物だから、覚えててくれる んだよね。何度か通っていると、名前まで覚えてくれた。

別の小屋で、去年きたんだけど覚えてますか?って聞いたら、覚えてないって 言う。じゃあこんどすきやき持ってくるから覚えとけ、って。約束したら必ず 行く。そうしたらちゃんと覚えててくれた。それ以来その小屋番とはすきやき 食わせる仲。


顔なじみの山小屋があるってのは、顔なじみの居酒屋があるのと訳が違うと思 う。誰か山へ連れていくにしても、トクベツな扱いをしてくれる山小屋なら紹 介のしがいがあると思う。だからね、1度行った山は2度と行かない。まあ、 それも1つの方針だけれども、なじみの小屋を作ると山行が豊かになると思う んだ。


僕が山というものをはじめて、いい半生を送ったと思っているし、その中でも 他の登山者が得難いような経験をいくつもしてきたと思っている。僕が思うの は、山というのはいろいろな楽しみ方があるから、オンリーワンな経験を持つ といいと思うということだ。

(2015.5.7 13:12)(by script)




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