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山岳写真を語る

ということで、ざっくばらんに山岳写真を語っていこうと思うのです。
山岳写真といえば、ちょっと敷居が高いですけど、iPhoneでもそれなりの写真が撮れると思うんです。ただ、やっぱりネット上にはちょっと残念な写真が氾濫している(まあ、自分のとこもそうなんですけど)ようにも思うんです。本格的にやりたい人はまあ僕なんか頼ってないでちゃんと勉強してもらえればいいと思うんですけど、すこし手当しようと思います。

まず、iPhoneでもそれなりに撮れる、というのは、掛け値なしに事実だと思うんですよ。というのは、写真というのは9割構図、という位で、iPhoneでも構図がしっかりしている写真、というのは、かなり「見られる写真」に仕上がります。逆に重量級の一眼レフで撮った写真でも、構図がヒドイとやっぱりダメな写真になっちゃう。

脱初心者を目指すカメラクラブの「俺の写真に意見くれ」で僕はずいぶんいろいろ書いていますけど、最終的に「構図力をつけましょう」というコメントを書くことが非常に多い。だもんで、一般的にいえば、構図力をつけていくのが、いい写真への早道だと思います。

よくみかける、残念な写真というのは、まあ、ブレてたりピントが合ってなかったりするのは論外として、やっぱり微妙に水平が出ていない写真、というのがまず目につくと思うんです。写真ってのは、やっぱりきちんと水平がでていないのは不安定に見えるものなので、まず、ここは手当をしたい。普通の人はたいてい手持ちだと思うんですけど、水準器なんかを使ってしっかりと水平を出してあげるようにすると、より安定した構図の写真が撮れるようになると思うんです。

写真を撮るにあたっては、主役、主題を考えていくことが必要だと思うんです。一般的にだよ。主役ってのは画面の中に大きくとりこんでいくことになると思うんです。主役というのは、山岳写真ですから、だいたい、山か空になると思うんですけど、山と空と半々の写真を撮ってくる人がけっこういる。これは、どっちつかずの残念な写真、ということになってしまうんだ。山の方が主役だと思ったら、山を画面いっぱいにいれてあげる。空が主役だと思ったら、空の方を画面いっぱいにいれてあげる。どっちも捨てがたいと思ったら中途半端な写真を撮らずに、山が主役の写真と、空が主役の写真と、2枚撮ればいいんです。

写真の上達に有効なレッスンとして、表題をつける、というのがあると思うんです。どうしてかというと、表題をつけることにより主役、主題が明確になり、何を撮りたかったのか、がはっきりするからなのです。だから、表題はなるべくつけた方がいいと思うんです。

山岳写真はとくにそうなんですけど、数打ってもダメなのです。日帰りの山でも行くと何百枚も撮ってくる人がいますけど、そういう撮り方じゃなくて、1枚1枚をすこし時間をかけてもっと丁寧に撮った方がいいと思うんです。僕は、少し考えて、それでシャッターを押せ、って言うんですけど、何も考えずにシャッターを押し続けても、偶然以外にいい写真は撮れない。だけど、考えすぎて、ああでもないこうでもない、と逡巡した挙句カメラを下ろしたりすると、結局何も写らない。そのバランスを取るのが、「少し考えて」だと思うわけなんです。

僕が写真説くときに、かならず言うのは、画面のすみずみまでが写真だから、主役だけに注目するのでなく、画面のすみずみまで見渡して、余計なものが写ってないかどうか確認してからシャッターを押すようにするといいよ、というのがあると思います。

風景写真の場合、ストロボを使うことは稀です。自動発光になっていると、朝晩にはストロボが光ることがありますが、ストロボ光は3,4mくらいしか届かないのでたいていの場合きちんと写ってはくれませんし、周囲で長時間露光している人がいるとストロボの光が他人の撮影の邪魔をしてしまうことさえあります。ストロボを使う場面というのは、花マクロで日陰になっているものを撮る場合(状況に応じて)とか、あと、逆光での記念撮影(ストロボを使うと顔が黒くなるのを防ぐことができる)など。ネイチャー部門では紅葉や新緑を撮影するときに補助光として使うこともありますので、1つ持っていて損はないけど、使い方を間違うと失敗してしまうのでうまく使ってあげてください。

道標もかっこよく撮ればそれなりに写真になりますが、道標の写真というのは山岳写真とは、すこしジャンルが違うと思うんです。多少、筋目の通った山岳写真を撮ろうと思ったら、道標はなるべく画面からはずして写真を撮ってあげると良いと思うのです。

縦構図か横構図かは悩むところなのですが、その場面で、何を感じたか、を中心に考えるとどちらを選べばいいか、というのはわかりやすいと思います。一般に縦構図は高さを表現し、横構図は広がりを表現するのに向いています。画面の中で、山のピークを画面の上いっぱいに入れるとより高さが表現できるので、縦構図+山は天いっぱいに詰める、という具合にすると山の高さが表現できるし、縦構図+山は下の方に、だと、空の高さが表現できると思います。横も同じように考えます。ちなみに、迷ったときは両方撮るのがおすすめです。

マイクロフォーサーズのカメラやコンパクトデジタルカメラは、デジタル一眼レフ(3:2)よりも正方形に近い(4:3の)画面になるので、横構図の中でも少し高さ感が出ますが、横構図での広がり感縦構図での高さ感みたいなものは少し工夫が必要だと思います。カメラの性格を知って、画面をいっぱいに使ってあげると、どんなフォーマットでもいい写真が撮れてくると思います。

画面をいっぱいに使う、というのはキーワードです。僕も一時期超広角(当時はフィルムだったんですけど、17ミリ位。今でいう11とか10とか)にハマったことがあるんですけど、けっこう何でも写って散漫になってしまった写真が多い。まず、「何を撮りたいのか」考えて、「それを画面いっぱいにいれ」て、「余計なものは画面から排除する」という作業をしていく必要があると思うんです。

はじめのうちは、主役を画面の中心にもってくる俗にいう日の丸構図というやつは、避けていった方が無難だと思います。とくに、富士山(とか、あと槍みたいな特徴的な山)を画面の真ん中へ持ってくると、なんとなく素人っぽさがにじみ出てしまいます。3分割や黄金分割といった、構図のキホンがあるので、そういった書籍に1度目を通してみると良いと思います。

雲のない空、というのは、意外と写真にしづらいものです。すごいいい天気!とか言いつつ空を大写しにすると、間延びした写真になって、こんな筈じゃなかった、という具合になってしまいます。むしろ雲の1つもないときには、天いっぱいに山を入れてあげて、空はチラ見えくらいにしてあげた方が結果的にいい写真になりやすいと思います。
空が真っ白のときはやはり、空は大胆に切り落とした方が、写真としてまとまる可能性が大です。光の具合にもよりますが、コントラストが出るときはモノクロで山肌を、出ない時は足元の花なんかを狙っていくのが良いでしょう。

とくに朝なんかそうなんですけど、皆さん日の出の時間は非常に気にされるのですが、時間的には日の出30分くらい前の藍色の時間は絶対外せない。
だもんで、遅くとも日の出30分くらい前にはスタンバイしてないと、と思います。日没も残照の時間、というのが非常にいい色が出ることが多いので、日没後30分くらいは粘りたいところです。このとき、キモになるのはホワイトバランスです。基本のホワイトバランスは太陽光ですが、曇りとか日陰にするとさらに色が強調されます。ただ、状況によっては「やりすぎ」になってしまうこともあるので注意が必要です。やってはいけないのは、ホワイトバランスオートです。いまどきのカメラはかなり優秀になりましたが、それ
でも朝日夕日のダイナミックな色は、オートでは抜けてしまって平凡な色になってしまうことが多いものです。

日の出前日没後で注意が必要なのは、露光不足です。周囲が暗いのでモニターで見るとけっこういい具合にでているように見えても実際にはアンダーで撮られていた、ということが多いと思います。この時間の写真は、適正と思われる駒と、もう1枚、すこしオーバー目と思われる駒と、最低2枚撮っておくと安心です。

僕のカメラはとくにそういう傾向が強いのかもしれませんけど、山肌をメインで撮る時に、評価測光ですとオーバー目に出てディティールが飛んでしまうことが多いように思います。一見するととりあえず写っているようにも見えるので、けっこう白っぽい写真を堂々と出してくる人がおりますが、こういう写真を避けるには、まず目を養うことです。いろんな露出で撮影を繰り返して、見比べることで、1枚の写真を見た時、これはオーバー、これはアンダーって言い当てられるようになると思います。その上で、やはり露出を変えて、最低2枚できれば3枚くらいは撮っておいて、後でいい駒を選ぶようにすると良いと思うのです。

紅葉を撮るときは、盛りよりも少し早めの方がいいと思います。画面全部が赤とかよりも、緑色を織り交ぜたりすると色づいた葉の色が強調されたりすることがあるのでそういう画も撮っておくと良いとおもいます。紅葉の場合露出も難しいですが、画像の調子というか色味の出し具合も難しいので、あとでまた少し語ろうかと思います。

雪山の露出は、死ぬほど難しいです。ちょっとアンダーだと雪がねずみ色になってしまいますし、ちょっとオーバーだと真っ白でディティールが飛んでしまいます。(適正な色よりも、すこしアンダー目にしてどんよりとした色で仕上げた方が雰囲気が出ることがあるのが、さらにこの問題を難しくしています)一撃必殺を狙わずに、露出を変えて何枚か撮って、あとでいい駒を選ぶようにするのがおすすめです。(とくにキヤノンのカメラを使って、写歴の非常に長い人の中に)写真はシャッター速度優先、と信じてやまない人もいるのですが、こういう場面では絞りを変えずにシャッター速度を変えた方がいいので、絞り優先にしておいて、露出補正で対応するとわかりやすいと思います。

太陽というのは非常に強い被写体です。画面に入れるとしたら、画面の中でいい位置を与えてあげた方がいい。はじっこぎりぎりとかに太陽を入れると画面が窮屈になってしまったりすることが多いと思うのです。

滝を撮るときは、シャッター速度に悩むのですが、低速シャッターで滝を糸のように撮りたい場合は、三脚とNDフィルターというフィルターが必要です。シャッター速度を落としたいばかりにあまり絞りすぎると回折という現象が出て画質が落ちるので、なるべく感度を下げて、NDフィルターで対応するのが吉です。
逆に道具さえ揃っていれば、滝をきれいに撮ることは難しくないと思います。一般には滝もきちんと水平を出してあげるといいのですが、手持ちで大きく水平を崩して、高速シャッターでダイナミックな動きを表現してあげると新鮮な画になることもあります。

僕もあまりうまくないのですが、星を撮る場合、ピント合わせが曲者です。僕もけっこう失敗するので大きな声ではいえないのですが、星はライブビュー
を使って、マニュアルでピント合わせをするのが良い、と言われているそうです。1枚めうまく撮れた、と思っても、もう1度ピントを合わせ直し
て念のための駒をおさえておくと良いと思います。
三脚がないと星は写りませんけど、赤道儀を使わずに星を点でとめるには、だいたいシャッター速度は15秒以内くらいにせよ、と言われています。
そうすると、キットレンズで撮影するとISO3200〜6400前後が必要になります。

星を線にする場合は、さらに長時間露光させる場合と、比較明合成という手法を使う場合があります。撮像素子の出す熱がノイズを出すとか、いろいろ難しい問題があるので、じっくり腰を据えて勉強しないと、本格的な星撮影は一筋縄ではいかないものと心得たいものです。

山岳写真では、光の向きを選ぶのは非常に難しいと思うのですが、常に意識はしておかないといけません。いちばん立体感が出るのは斜めに光が入
る斜光で、太陽が高くなってしまうと山肌はのっぺりとしか写りません。逆光はドラマチックに写りますが、露出の決め方が難しくなります。
写真は朝方夕方が勝負になるので、その時間になるべくいい場所を確保することが大事だと思います。

写真のうまい人、というのは、突発的に上手な写真を撮ってくる人、ではなくて、下手な写真というのを世に出さない人だと思うのです。ある程度いっぱい撮って、世に出せる写真と、世に出せない写真とを選別する。その選別の閾値が高ければ、高いほど世間から写真のうまい人、とみられるように思うんです。どんなに上手な人でも、百発百中とはいきません。なんとなくしょんぼりな写真もいっぱい撮る中で、ある程度よさげなのが何枚か撮れる。その、よさげなのだけ世に出すから、撮ってる写真がみんな良く見えるんですね。僕はその閾値が低いのでうだつがあがらないのです。
選別するのは、もう絶対です。撮った写真全部世に出すなんてのは、写真をやる人にとってはありえないことです。ある程度全体的に力量が安定している人の写真は、見て安心できると思うんですよ。百枚撮ってきても、世の中の人は百枚全部に目を通してはくれないと思います。公開するのは目を通してくれる程度の枚数にして、あとは眠らせておいた方が、僕はいいと思うんです。


「おおくの人は、いいカメラさえ買えば写真集のようなきれいな写真が明日から撮れるんじゃないかと思われているかもしれません。でも、実際にはそんなことは微塵もありません。写真には「ウデ」というものが歴然として存在します。ある程度練習していかなければいい写真というのは撮れないものなのです。その中で、思い描いていた写真と、実際に撮れた写真との違いにがっかりして、自分は下手なのではないかとか、才能がないのではないか、とは思わないでほしい。 」



(色調などについて)

いまどきのカメラはピクチャースタイル(など)といって、ちょうど昔フィルムの種類をとっかえひっかえしたように、写真の調子を変更する機能がついていることが多いと思います。状況にもよるのですが、風景写真の場合すこしコントラストや彩度が高めが好まれる傾向があると思うので、カメラをそのように設定してあげるとパキッとした風景写真が出てくると思います。紅葉の赤などは記憶色といって、実際の見た目よりも脳は鮮やかに記憶しているものです。こういう色は、本当はRAWで撮って、あとで記憶色を強調するような現像をするのがおすすめではありますが、そうするためにはRAWデータの取り扱いなど、データの転がし方に精通している必要があるので初心者向きではありません。

あと、少し高級なカメラですと、色空間を設定できるカメラがありますが、通常はsRGBを選んでください。AdobeRGBは「AdobeRGBに対応したプリンタでプリントしたときに、緑方向の発色が優れ」るかと思いますが、とくにパソコンの画面で見るときは、大多数の人がsRGBのモニターを使っていますので、sRGBで撮影したほうが親和性が高いと思います。色空間が違うと色が乱れますので、sRGBで撮影している分には問題ないのですが、AdobeRGBで撮影している場合、色空間は常に意識しておく必要があります。
僕は撮影時はAdobeRGBで撮影して、RAW現像時にsRGBに変換しています。


極端な加工をすることはあまりおすすめできませんが、コントラストの高いモノクロってやつは、やっぱりひと味ちがう写真に仕上がることが多いと思います。安易にモノクロにすればいいというものでもないですけど、とくに色的にいま一歩の場合を含めて、モノクロは常に選択肢にいれておくと良いと思います。


(道具について)

山岳写真をやるにあたっては、まず、写真>登山なのか、写真<登山なのか、というのを、冷静になって考えてほしいと思うんです。写真がメインの人は山頂に行くことは2の次だし、下手すると1枚写真撮るのに2、3日同じ宿に泊まりこみで粘ったりする。登山がメインの人は、自分が動いている中で出会えた風景をカメラに収める。まず、自分、というか、今回の山行がどちらに属するのかは、はっきりさせておいた方がいいと思うんです。

その上でカメラ選びなんですけど、写真<登山の人は、あまり重いカメラには手を出さない方がいいし、出しても無駄だと思うんです。5D3とかD810とかの、値段も重さも重量級のカメラを持って、写真<登山では、少なくとも僕はカメラを投げ出したくなってしまいます。まあ、せいぜい頑張っても、おすすめできるのは6D+レンズ2本、が限度ですかね。カメラの重さというのは、行動力に制約を与える重さだと思うので、できることなら軽い方がいい。

で、あまり、写真に本気でないけど、そこそこ筋目のとおった写真を撮りたいね、という人には、僕はOM-D E-M5というカメラをおすすめしています。Kissとかよりセンサーサイズが小さいのにKissなんかより一回り高いカメラで、割高なんじゃないか、と思われるかもしれないのですが、いくつか理由があるので順を追って見て行きたいとおもいます。

まず第一に、小型軽量であることが挙げられると思います。写真ってのは、写真を撮るだけの余力が残っていなければ撮る気もなくなってしまうんです。30キロ背負って縦走すると、ホントに目の前で太陽が登ってるのに写真なんかいいや、という具合になってしまう。軽いことは最大の武器だと思うのです。カメラが軽いということは、持っていくべき三脚も軽くていいということなのです。

第二に、防塵防滴であることが挙げられるとおもいます。まあ、雨の日は店じまいとしても、ベタ雪で、木の上から水なのか雪なのかわからんような物体が落ちてくるような状況で、Kissとか防滴でないカメラを振り回すと、壊してしまう公算が高い。防滴のカメラは霧の中なんかでも安心して使えると思うんです。水の中にじゃぶじゃぶしても大丈夫なわけではないけど、僕のお友達は沢登りでも使っているので、濡れた手とかでカメラを扱う人はもう防防は絶対だと思うんですよ。

第三に、今E-M5にのっている手ブレ補正は、最強だと思うんです。本格的に風景写真をやろうと思ったら、三脚は必須になってきますけど、写真<登山の人がそう簡単に三脚を持ってもらえるとは思ってないし、持ってたとしても都度取り出したりはしないだろうと思っている。要するに、手持ちで撮ることが圧倒的に多いと思うんです。そうすると、手ブレ補正が強力であるということがどれほどの武器になるかわからない。おまけに、最低感度がISO200で、普通のデジタル一眼レフより1段高い。感度が高いということは余計に速いシャッターが切れるということで、より手ブレしづらくなります。

第四に、風景写真の場合ある程度絞りを絞って撮影することが多いですが、センサーサイズが大きければ大きいほど余計に絞らないといけない。絞らないといけないということはシャッター速度が遅くなって手ブレしやすくなる。そういう意味で、三脚持たない、使うのは限定的、という人は、あまり大きなセンサーのカメラには手を出さない方がいいと思うんです。ある程度立体感とかを追究すると、センサーサイズは大きい方がいいと思うんですけど、僕らの日本山岳写真協会展の規定では、フォーサーズ以上の、という規定になっているので、とりあえずE-M5は山岳写真協会展の規定を満たす程度の水準にはあると思うんで、そのへんは安心して使っていいと思うんです。

第五に、液晶を見ながら撮影するタイプのカメラ(ミラーレスなど)では、日中太陽の光があたると、液晶が見づらくなってしまうと思うんですけど、E-M5にはファインダーがついているのでそういうことがないです。それも電子ファインダーなので、撮影前に露出の具合が確認できるうえ、見たままに撮れる(一般的な光学ファインダーのカメラは、ファインダー像よりすこし広い範囲が写るようになっていることが多い)ので、厳密な構図あわせができるようになっています。

第六に、ISO感度の調整を手元のボタンに割り当てることができる、というのが挙げられると思います。山岳写真の場合、絞り優先の設定を一番使うと思うので、「絞りの調整」「露出補正」の2つが一番よく使う機能だと思います。この2つが独立したダイヤルで調整できるカメラ、というのは、ある程度高級機に絞られてくると思うのですが、ここはE-M5がクリアしています。その上で、手持ちで撮る場合、感度を妥協しないといけない場面がどうしても多くなる。感度オート、という手もありますが、自分で設定する場合に、手元のボタンに感度調整を割り当てて、それを使えるという意味で、E-M5はペンを作ったのと同じメーカーと思えないくらい操作系がよく練られていると思うんです。

E-M5は僕も実際に使っているんですけど、気になる点としてはボタンが小さいので厚手の手袋をしたままでは使いづらいというか使えない、というのがあります。センサーサイズが小さい分高感度に弱い、というのもあります。あと、オリのカメラはE-PL1sというのを使ったことがあるのですが、こいつがめっぽう低温に弱いカメラだったので、E-M5もあまり低温に関しては信用していない、というのもあります。ただまあ、そのへんを追求していくと、やはり「大きく、重い」カメラを選ばざるを得ない。すべてを満たすカメラは存在しないということを考えると、山で使うにはE-M5はいい落とし所だと思うんです。
僕は中古で5万2千円で買いました。一時期新品では買えなかったのですが、また新品でも買えるようになったそうです。まあ、山で使えば傷だらけになってしまうので、中古で十分だと僕は思ってます。

E-M5以外のカメラを選ぼう、という場合は、上記のようなことを考えた上で選ばれると良いかと思います。

次にレンズですけど、たいていの場合カメラとセットでついてくるレンズは尊重してあげたほうがいいと思うんです。足場の限られる山岳写真の場合、単焦点レンズは使いづらい場面が多いと思います。確かにエントリーモデルのキットレンズにはあまり褒められる写りをするものはないのですが、山岳の場合ある程度絞って撮影することが多いと思いますので、レンズの粗もでづらいと思います。ボディとレンズと別々に調達するとレンズ選びの自由度は格段にあがりますが、値段の方も格段にあがります。
あと、忘れてはならないのは、「機材は全部背中で背負って歩く」ということです。まあ、2本か、多くても3本くらいにしておいた方がいい。そうすると、最初の1本はやっぱり、ズームレンズになるだろうと思うんです。

僕は山岳の標準画角というのは、16mm(換算24mm)だと思っているので、できれば16mmをカバーしたレンズは欲しいところです。セットでついてくるレンズには18はじまりのものが多いと思うのですが、もう1歩広い範囲が写ると、という場面が多いと思うんで、できれば16はじまりのレンズがいいと思います。値段的に無理でしたら、18はじまりでも工夫次第でそこそこ撮れるので無理することはないと思います。
画質的にはF2.8通しくらいの大口径レンズが優れることが多いとおもいますが、重さも勝りますから、背中で背負うことを考えると、F4通し、ないしはF3.5〜5.6くらいのレンズで十分だと思います。

山岳の場合あまり望遠レンズは使わないと思うんですけど、山岳以外のたとえば子供の運動会なんかは望遠レンズが欲しい。そういう意味でいうと、山岳以外にもカメラを使うよ、という人はダブルズームキットを選んでおくのが無難だと思います。レンズキットの望遠レンズをあとで単品で買うことほど(値段的に)バカらしいことはありません。
いまどきのカメラは画素数が無駄に多いですので、望遠側はトリミングで対処することも可能ですので、山では望遠レンズは省略することが多いと思います。

2本目のレンズとしてオススメなのは、90mm、100mm、くらいのマクロレンズです。重さが許せば180もオススメです。いまどきの山岳のお花畑はロープがしてあって、ちょっと遠くから撮るようなので、30とか60とかのマクロでは距離が足りないことがあると思います。あと、キットレンズがたいてい18-55だと思うので、90〜100くらいのレンズがあると遠くを撮ることもできるのでいいと思います。タムロンの272Eとかでしたらそんなに高くも重くもないのでおすすめしやすいと思います。


次に三脚なのですが、まあ、山岳写真をやるなら、正直持って行って欲しいと思っています。で、ですね、三脚なんか普通持っていきたくない装備の筆頭だと思うんですよ。僕もできることなら持っていきたくない。だけど、朝晩とか、星なんかを撮るには、ないと話にならない。

で、普通に話をすると、ゴツい三脚をおすすめされると思うんです。三脚ってのは、まあ大きくて重量があった方がベターになります。だけど、使う場所が山で自分で背負うわけだから、持ち運ぶには軽い方がいい。痛し痒しなんですよ。

まず、三脚を選ぶにあたって、三脚というのは10年以上使うモノだということを頭に入れておいてほしい。カメラは3年使えば一段落だけれども、三脚は最低でもその3倍の期間使う。だもんで、いい加減な気持ちで選ばないで欲しいし、いい加減なものは選ばないでほしい。

三脚のサイズですけど、だいたい、上に載せるカメラの重量と同じくらいの重さは必要、と言われています。ただ、今どきのカーボン三脚はそんなに重量は必要ないと思うし、まして山で自分で背負うのだから多少重量は妥協したい。重量は妥協する代わりに、ストーンバッグという装備を併用して、三脚の重量を現地の石などを使って増すことになります。

サイズとしては、ミラーレスだったら、Carmagne4xxくらいのサイズ、
普通のAPS-Cサイズの一眼レフだったら、Carmagne5xxくらいのサイズ、
フルサイズの一眼レフだったら、Carmagne6xxくらいのサイズ、
があれば、とりあえずは十分だろうと僕は思っています。将来ステップアップするつもりだったら、そのことも考慮して大きめの三脚を選ぶようにすると良いかと思います。

三脚の足の段数ですが、一般的に3段のものと4段のものがあります。3段の方が収納が早くて、なおかつ強度もありますが、収納が大きくなるのでザックに横にくくりつけたときに横にはみだしてしまいます。縦に収納する(ザックのわきにくくりつける)としても4段の方が縦にでっぱらないので、山で使うのであれば、特段の理由がなければ4段のものを選んだ方が良いと僕は思っています。

雲台ですが、自由雲台と3ウェイの雲台があります。で、どっちがオススメかというと、死ぬほど悩むんですよ。自由雲台の方が軽いのですが、構図は3ウェイの方が決めやすい。だけれども、3ウェイではカメラを上へ向けるのが難しいので星は撮りづらい。
で、やっぱり「軽い」「でっぱりが少ないのでひっかかりづらい」という点を加味して、ホントは両方持ってるのが一番いいんだけど、どっちか一方だけ、というのであれば、僕は星を撮る可能性がある人には自由雲台をおすすめしようと思います。もう全然星は撮らないよ、という人は3ウェイの方が使い勝手がいいかな、と思います。

自由雲台を使うにあたっては、1点で固定するから、ネジを緩めるたびに水平を調整しなければならない。かならず、構図を直す度に水平かどうか確認しながら使うようにしてあげないといけません。


レンズ保護のフィルタについては、悩むんですよ。レンズキットのレンズは一般的に中古市場で調達してくると1万円以下だったりするんで、そのレンズに3千円も出して高級なフィルタをつけるのは、僕はナンセンスだと思っています。レンズってのは、丁寧に使えばそんなに傷つけるものでもないし、フィルタ1枚噛ませるだけでも確実に画質は落ちる。ただ、山なんで、全然なんにもないのも不安。
というわけで、僕はamazonで1000円以下のいちばん安いフィルタを調達してきて、普段はつけておいて、ここ一番、というときはフィルタもはずすようにしています。ホントに1万円以下で調達できるレンズは、もうフィルタはつけないこともあります。

あと、フードですね。レンズフード。安いカメラですと、レンズフードは別売りのことが多いですが、もちろん、山岳写真をやるにあたっては、フードはあった方がベターです。だけれども、ノートとかで代用することもできるので、すぐに買う必要のある品物ではないと思います。
互換品が1000円くらいで買えれば、それが一番ナイスかなと思います。


メモリーカードは、あまり速度や容量は要らないので、信頼できるメーカーのものを2枚持っておくと、1枚トラブルがでても、うっかりカメラに入れ忘れてでかけてしまっても撮影を継続することができると思います。JPEGで撮られる人なら4Gもあれば十分と思うのですが、今はそんなに容量の少ないものはあまりみかけなくなったので、32G〜64Gくらいのもの。amazonなら1500〜3000円程度だと思います。僕の信頼しているメーカーは、東芝、パナ、サンディスク、レキサー、あと2流メーカーですがトランセンドまでは大丈夫だと思っています。サンディスクは偽造品が多いそうなので注意が必要です。
予備のSDカードは財布の中にいれとくといいのですが、むきだして入れとくと曲げる力がかかったときに破損してしまうことがあるので、プラスチックのケースに入れておくのが安心です。


ほかの装備ですけど、だいたい僕は、予備のバッテリー、ブロワー、レリーズ、お手入れ用品、それにフィルター(PLフィルタ、FOGGYフィルタ、トワイライトフィルタ、NDフィルタ、LBAフィルタ、LBBフィルタ)を持ち歩いています。
フィルターはいろいろ種類があって何を持つか悩むわけなんですけど、写真歴とともに自然と増えるものだと思うので、焦って買う必要はないと思います。とくに、PLフィルタは三脚を持たない人には、おすすめしづらいフィルタだと思います(そのココロはまた追って話をしたいと思います)

予備のバッテリーが必要だってのは、1つにはデジカメというのは低温に弱い、というのがあると思います。とくに冬山では1個ポケットに入れて温めておいて、交換しながら使うことがあるので、2個ないとダメだよ、というのがあります。あとはオペレーション上の問題なのですが、でかける都度充電するのは面倒だし、都度バッテリーを抜くとバッテリーを忘れてでかけてしまう可能性も考えられるので、僕は予備を1個持っています。
予備のバッテリーには正規品と互換品があると思いますが、互換品を使う場合国内モノのセルのものを購入されるのが、いろんな意味で安心だと思います。





「山岳写真をやってみる」
http://tozan.net/tech/syashin.html
「放任的風景写真講座」
http://tozan.net/datsusyo/mixifaq/nature/index.html

(2015.5.7 13:12)(by script)




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