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八月一日(縦走六日目)
三伏峠〜塩見岳〜北俣岳〜北荒川岳〜熊ノ平

 今日から新しい地図に入ります。二枚目の「甲斐駒・北岳」の図葉です。 一つ地図が進むと、今回の山旅も新しいステージに入った気分になります。

 塩見岳は深田百名山にも選ばれている秀峰です。南アルプスでも特に人をひきつけてやまない山でしょう。その、塩見岳への最短ルートが、今日泊まった三伏峠からのルートになる。したがって、この間は南アルプスでも例外的に登山者が多い。このルートは泊まる所が中途半端になってしまうので、朝早く小屋を出ていく人が多い。
僕は早い時間に出発する方を自負しているが、それよりもさらに早く出発したグ ループもあったようです。多分早出組は今日塩見を往復して、鳥倉へ下山 するグループでしょう。縦走の人はほとんどいません。

 朝五時頃塩見岳へ向かって歩き始めます。本谷山山頂で少し迷った後塩見方向へ向かいます。二六〇八の少し先あたりで先行する女性二人 組においつき、一緒に休憩に入ります。塩見小屋直下あたりまでは樹林の中ですが、 塩見小屋前で森林限界をこえます。ここで二度目の休憩。さらに先行して いたグループから声がかかります。お弁当食べない?一つ余計に注文して しまったので…だって。両手をあげて歓喜です。なんてラッキーなのでしょ う。ここでお弁当ゲットです。久々の生ものです。さらにレーズンパンまで頂いてしまいまし た。

 塩見岳は、南アでは一番厳しい岩場の登りになります。とはいっても、北 アルプスへ持っていけばこの岩場は並をこえるものではないでしょう。手を使って軽々と登ります。 が、前の奥さん、岩にしがみついて動けなくなってしまっています。はい はい押しますよ〜。と、喉のところまで出かかって、少し待つことにしま す。その奥さんも無事に岩をクリアして道を譲ってくれました。これで先 行します。アルプスめぐりをするのであれば、初歩的な岩の練習はしておいた方がいいと僕は思っています。そういう僕も岩登りは極端に下手ですが。

 塩見岳は軽くこえて、東峰のほうで一回荷物を下ろして写真をとります。 はるか遠く、見渡す限り山です。歩いてきた方向も、これから行く方向も、山しか見えません。
 あとは基本的に下りですが、だいぶしんどくなってきました。後から考え てみると、この日はあまり調子のいい日ではなかったのかもしれません。 北荒川岳へ立って、確かここに道標があるんだよな。記憶をたどって、ここに書かれたタイムはえーっと、 二時間三〇分だっけか。と思って道標を見てみます。五年前には真新し かった道標も、今ではレタリングの黒い字が剥げてきて読みづらくなって います。そこに書かれたタイムは、三時間。記憶していたよりだいぶ長い 時間です。

 周囲の展望はすっかりガスの中です。ここまでやってきたら、もう誰も通 りません。北荒川岳の登山道の真ん中にどっかと荷物を下ろして、もらっ たお弁当を口に入れます。それを今日の昼食とした後、熊ノ平に向かって トボトボ歩いていきます。が、それも長く続きません。一旦座り込んで、 行動食兼非常食のブドウ糖をかじります。これが一番軽く効きが早いので すが、ブドウ糖をかじって重荷を背負う様はまるで砂糖湯を飲んで歩いて いた昔の歩荷です。自嘲気味に命を削ってやってるんだ、という気分にな ります。安倍荒倉岳をこえた最後の展望地に再び座り込んで、もらったレー ズンパンを口に入れて、ようやく歩く気になりました。
 ここから一時間、と思っていたのですが、実はここから小屋までは一五分 で、しかも下りだったのです。

 かくして、無事小屋へやってきます。熊ノ平にはお風呂が設置されました。 入浴料は一〇〇〇円。日本一高い展望風呂とか書かれていますが、何が高 いって、入浴料が高いんじゃないか?
 で、もう1つ高いビールが目の前にあります。三五〇缶で七〇〇円、 五〇〇缶は一〇〇〇円。これは、熊ノ平の小屋番がのんべえだからでは なく、椹島を基点にヘリで荷揚げするため熊ノ平が一番ヘリ代が高いから、 なのだそうです。
 さて、お風呂とビールと、両方は財布に厳しい。どちらかです。お風呂にするか、ビールにするか思案のしどころです。えーっと、 ビール五〇〇のやつ下さい。あーあ、やっぱりまたビールだよ。バカ だねえ。なんだとバカ言うんじゃない。ビール一本はご飯一膳分。これも カロリーのうちだぷんぷー。というわけで、お風呂は見送ってビールです。 無事テントも張って、あとは飲むだけだ、という訳で飲んでいます。

 明日のルートは好天なら間ノ岳・北岳経由で両俣小屋、悪天ならまっすぐ両 俣小屋、ぜんぜんダメなら停滞。です。僕はこの荒れたルートを歩いたことがあ るのですが、このルートが荒れているのでできれば一緒にいってほしい、と言ってきた おじさんがいます。当年六七歳(前の六七歳とは別人)で、易老渡から僕 より一日早く入山して光岳から歩いている人です。また変な人をつかまえました。僕も同行者がいる分に は有難いので快諾ですが、冷静に考えてみるとこの人、台風のさ中を易老 渡から光小屋まで、おそらく七〜八時間は行動しているんだよね。凄い人 だ。このおじさんはちゃんとお風呂の方を選んだらしい。うん、やっ ぱり山ヤはそうでなくっちゃ。一週間山の中にいてお風呂入らないと、山ヤにも近づいてもらえなくなるからさ。
 今日のテントは小屋の下のちょっと薄暗いところになってしまいました。水場も遠くなので少し残念です。

 さて荷物を広げて気づきます。なんかシュラフが濡れるな、と思ったら、 水筒から水が漏っていました。だだ漏れならすぐわかったのです が、折り目からチョロっと沁みだす程度だったので一晩気づきませんでし た。昨日霧の中なんとか乾かした生乾きのシュラフは、また水濡れ状態で す。なんとか広げて干しますが、もう夕暮れ。乾くものではありません。 水筒を一つ失ってしまったのに加えてシュラフが水濡れはまさにダブルショッ クです。まあでも甲斐大泉の駅まで頑張れば新しい二Lのペットボトルが 手に入ります。それまでの我慢です。

 今持っているシュラフは年一回の夏の縦走用に買った夏用のスペシャルシュ ラフです。ファスナーなし、羽毛量三五〇g総重量七〇〇g。僕が普段使っ ている三季用も決して重くはありませんが、それよりもまだ二八〇gも軽 量です。
 かつてやはり長期の縦走をして、足を痛めて帰ってきたことがある。そのときにさらなる軽量化が必要、と思っていた所に、 なんと目の毒なことでしょう。格安で在庫処分になっていたのです。かく してヴァランドレなどという高級シュラフが僕の手元にやってくることに なりました。ほとんど三季用と変わらないような保温性を持っているので すが、しかし、当然ながら水濡れには強くありませんでした。しんどい一夜を過ごし ます。

*コースガイド

本文のお風呂は現在廃止になっています。また、ビールの値段も値下げになりました。

天狗岩〜塩見岳直下付近は岩場になっていますが、そんなには厳しいルー トではないと思います。梯子鎖の類はありません。塩見岳を過ぎ、北俣岳 あたりまではちょっと注意の必要な場所もありますが、北荒川岳を過ぎて しまえば樹林帯の中に入り、落ちるところも迷うところもないことでしょ う。

塩見小屋へ宿泊する場合、必ず予約を入れておいてください(場所が場所 なだけに、都合よく予約が取れるかどうかは別問題ですが…)予約のない 場合、小屋があいていても小屋への宿泊はできず、仮設のテントでの宿泊 になるそうです。

区切り線
写真 ふりかえると、あそこに三伏峠小屋が見えてきました。
写真 本谷山へやってきました。
写真 塩見新道と合流するところにはしっかりした道標がたっていますので間違えることはないでしょう
写真 えっと、多分塩見へののぼり…あれこんなところあったっけかな
写真 塩見岳東峰で写真をとってもらいました
写真 ライチョウです。この写真でわかるかな…
写真 ライチョウです
写真 ライチョウ
写真 お花畑お花畑〜
写真 稜線にはガスがあがってきました
写真 熊ノ平小屋の様子

最終更新日: 2016/07/22 by htmltophp.php




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