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八月八日(縦走十三日目) 
キレット小屋〜赤岳〜行者小屋〜硫黄岳〜天狗岳〜黒百合ヒュッテ

 コーヒーを飲むためのお湯をわかすとき、どうやっているでしょうか。目分 量で水をなべに入れて沸かすような人は長期縦走で重荷に苦しんでください。 コップで必要な水の量をあらかじめ測っておいて、それを鍋に移して火にか けるのです。こうすれば無駄なガスを消費することがありません。そして、 コーヒーの場合はお湯を沸騰させません。どうせ冷まして飲むのですから沸 騰させる必要はないのです。もちろん、今汲んできたばかりの冷たい沢水な んか使いません。しばらくおいて、ぬるくなった水を使います。
レトルト温めるときも同じような感じです。火にかけて五分といわれたら、 沸騰後は弱火に絞って、四分は火をつけておきますが、あとの一分は火をと めてしまいます。
今日、最初のガス缶が底をつきました。今回は大きいやつを一つと小さいやつを一つ持ってきたのですが、大きい方のガス缶が終了したのです。そうやって節約 してきたからこそここまで持ったとも言えるし、節約してもここまでしか持 たなかった、とも言える。今回 は飲み物を多目に持ったのでので沸かすお湯が多かった。 で、予想していたより早くガスが終了してしまいました。

 朝早く、少し空が白みはじめてからキレット小屋を出発します。樹林の中の暗い場所に備えてヘッドライトは頭に装着で行きましたが、 結局ヘッドライトを使う場面はなく、日が上がってきました。今日のルート は多分そんなにしんどくないでしょう。一箇所クサリとか書いてありますが、 ゆるやかな鞍部とも書いてあるし、等高線もそんなに混んでないし、まあ大 したことはなかろう、という読みです。が、その読みはすぐ屈されることに なります。とんでもないガレを上がっていきます。もう下なんか見ることは できません。鎖がやってくるとホッとします。なにしろ鎖につかまってさえ いれば落ちませんから。鎖がないところの方がこわいのです。そして、一箇 所トラバースの鎖の手前の、縦の鎖でしんどい思いをしました。問題はたっ た一歩だけなのですが、登山道が露出感ある岩の中央を通っていて、そして この一歩が足場が良くないのです。つま先だけ岩にかけておいて、あとは鎖 で体を空中にぐいっと持ち上げます。これでダウンです。地図を見る限り赤 岳から先の稜線伝いはここよりもさらに厳しいらしい。僕には無理です。二 時間くらい余計に時間がかかりますが、迂回路を駆使して、文三郎道を下って行者小屋、赤岳鉱泉 経由で硫黄岳へ向かうことにします。

 僕はかつて、静岡踏岳会という山岳会に所属していて岩や沢も、つれていってもらったことが何度かあります。でも、結局僕には合わなかった。室内壁では一一aが登れたが、外では怖さが勝って登れないし、そのうち事故を起こすような気がして、大病で山岳会を休会にしたときにそれっきり岩や沢はやめた。岩場は、基本的に苦手なのです。

 さんざん鎖とハシゴを見て、間もなく八ヶ岳の主峰赤岳へやってきます。何 かあっけない感じです。八ヶ岳へ入って、実質今日が二日目。南アルプスを 歩いてきた身にしてみれば、二日目あたりで核心部が終了してしまっていい ものか、と思ってしまいます。
周囲の展望はおよそあらゆる方向を足下にし、南アルプスから富士山から北アルプスまで 丸見えです。御嶽山らしきものも見えています。結局全山行中、この日が一 番天候に恵まれた日になりました。
一通り展望を楽しんだあとは、文三郎尾根を行者小屋へ向かって下ります。 厳しい下りですが、さほどしんどさを感じません。八ヶ岳のルートはどこも 楽だな、というのが僕の印象です。行者小屋はほとんど下界の売店といった 感じでお酒にリキュールからワインまでいろいろ取り揃えてあります。何か、 山の上でこんなに品揃えが豊富なのは異様な感じがしますが、まあ八ヶ岳と いうものはこういうものなのでしょう。下界から二時間ばかり歩くと、こん なサービスの行き届いた小屋にたどり着いて、もう二時間も歩くと、山頂へ 到着する。

 僕は、赤岳へは一回だけ、十二月に登ったことがあります。そのときの印象 が良くなくて、それっきり南八ヶ岳とは縁がないのですが、営業している行 者小屋を見て、再びあまりいい印象を感じませんでした。やはり、僕は八ヶ 岳とは、徹底的に性が合わない感じがします。

 行者小屋から赤岳鉱泉は下り基調で四〇分。ものの距離ではありません。赤 岳鉱泉から赤岩の頭へは一時間五〇分。これはちょっと登りでがありますが、 道はとてもいい状態でうまくジグザグが切ってあるため苦しい思いをするこ とはないでしょう。右手の岩場を眺めながら進みます。
 赤岩ノ頭から、右に見えている稜線を二〇分…とちょっ と位歩けば硫黄岳の山頂に到着です。広い火口淵の一点がピークです。硫黄 岳の山頂には赤岳鉱泉からのルートからは想像ができない位大勢の人がいま したので、その多くはおそらく横岳方面から縦走してきた人でしょう。ふり かえると、硫黄岳山荘から台座ノ頭あたりを経て赤岳まで良く見えています。 台座ノ頭あたりまではなだらかな稜線で歩いてみたい気もします。が、その 先は僕は遠慮しておきたいところです。

 硫黄岳から、僕はさらに北へ向かいます。一歩踏み出すと、登山道は途端に 静かになりました。右手に爆裂火口の垂直な壁を見ながら、大きく下ってい きます。あとで下ったのと同じくらい登りかえさなければいけないので少し 悲しくなりますが、なに八ヶ岳のことです。たいしたことはなかろうと勘ぐ ります。

 ほどなくして、夏沢峠へやってまいりました。ここから北は北八つ、ここか ら南が南八つ、でいいでしょう。今日は八ヶ岳実質二日目。はやくも北八つ へ入りました。夏沢峠にはヒュッテ夏沢と山びこ荘の二軒の山小屋が建って いますが、人気はありません。お昼ごはんなんか、メニューは出ていますが やっているのかやっていないのかわからないような状態です。ここを通過す ると、樹林帯に入りました。隣の小屋根石山荘までは、登り基調ですがわず か三〇分で到着です。よく三〇分の距離で小屋が三軒もあって、お客さんの 住み分けができているよな、と感心しきりです。

 三五分くらい危険のない登山道を歩いて根石山荘へやってきました。ここで 給水です。今日宿泊の黒百合ヒュッテは水のない公算が大です。去年行ったときには、水場が枯れていて一人二 Lの割り当てでした。今回は縦走 なので二Lではしんどい。どっかで水を持っていかなくては いけません。根石山荘には風呂があるくらいだから、簡単には枯れない水場 があるに違いない、と踏んでいました。水場の案内に従っていくと、 小屋の裏手の建物へやってきます。ジュースを冷やしている水のところに水 場、と書いてあります。どうやらこの水を使え、ということらしいです。何 か拝借している気分になりますが、とにかく水は確保できました。
 そして、目の前にあるジュース、目の毒です。やっぱり買ってしまいました。 甘いものはカラダが欲するし、たまにはカレー以外の味も味わいたい。で、一本お買い上げ。キレット小屋から来たといったら、そりゃ凄いと言われました…が、稜線伝 いにくれば、多分四、五時間でたどり着ける距離です。うん、別に大したこ とないよ。というか、八ヶ岳は四、五時間歩くのは凄い部類に入るのでしょ うか。山域によって、いろいろな文化があるということは体験済みですが、 どうも八ヶ岳の流儀はよくわかりません。

 小屋を出て正面、コマクサの咲く砂礫の台地を上がって、左手へあがるとす ぐ根石岳の山頂です。山頂からは展望展開し、見渡せない方角はなくなりました。携帯電話を取り出して下界と連絡した後昼食です。少し風がありますが、あまり人の通らない山頂、いい気分になれます。

 根石岳をこえて、すぐ天狗岳をこえるともう小一時間で黒百合ヒュッテへやってきます。もう、頭の中は生ビールしかありませんが、最後の一時間です。事故がおき やすい時間でもあるので、しっかり気をひきしめて歩きます。あとは歩いた ことがあるルートなので勘所はわかっています。天狗の奥庭コースをとって、 岩がゴロゴロしたところを歩いていきます。黒百合ヒュッテは一段下がった ところに建っているので直近まで近づかなければ見えてきません。
こんなとき、記憶というものは頼りにならないものです。たしか、このあた りだったぞ、と思って行ってみても、まだ先です。さっきタイムを詰めたの で、こっちもタイムが甘いか?と思うのが敗因で、こっちのタイムは厳しい 目でした。コースタイムを少し上回って、ようやく小屋が見えるか、と思っ たら、目の前が小屋でした。三分ばかり下って黒百合ヒュッテへ到着です。

 テントを頼んで、とりあえずテントを設営する前に生ビールです。ああ、今 日も飲むのね…というか、この生ビールを楽しみにやってきたんだし、いい でしょ。ごきゅごきゅごきゅごきゅ、ぷはー。いい気分になります。いい気分になったところ悪いんだけど、テント設営してね。あーあ、面倒だ なあ。テント設営してからビール飲めばいいんだけどさ、お金払うのはまと めてだし、テント場と小屋との間を何往復もしたくない。何かいい解決方法 はないものですかねえ。仕方ないのでテント設営します。テント設営とはい え、真面目にやらないと後で飛ばされたりする可能性もあります。なんか、 いい気分がすっとんでしまいました。

 で、水です。「今年は水出てい ますか?」と聞いてみると、やっぱり水量細いらしい。そこに汲んであるの で必要な分だけ持って行って下さい、とか言われます。え、必要な分持って いっていいの?と言われても、さっき根石山荘でたっぷり水をもらってきま した。うーん、どの位必要かな。明日の行動分も必要だ からと思い、適当にみつくろって二L給水してしまいました。

 今日は八月八日、八ヶ岳の日だそうです。あーあ、何が八ヶ岳の日だよ。 でも三時から何かイベントをやるそうです。イベントって何だ?えっと、ク リーンエネルギーの説明会。なんじゃそりゃ。でもまあ、折角の八ヶ岳の日 ですから参加しておくことにします。でも、時間が早いみたいで周囲を見渡 しても、参加者は小屋の人と、あと、ひい、ふう、みい、三人くらいかなあ。 ええっ、これでイベントなんですか?まあでも、順調に進んで、つまらん薀 蓄の足しになる位の勉強にはなりました。でも、この話、いつできるんだろ う。誰かほかの登山者と、風力発電がさあ〜、なんて話をする機会は、一週間 位停滞するようなことがなければ多分一生訪れないような気がします。

 四時頃になって、ぼちぼち人がやってきます。今日は小屋泊まりかな、と思っ てみていると、これから下りますとか言う。そんなに登山口近いのかな、と 思ったら、最短ルートで下れば二時間そこそこで降りられるんですね。でも、 六時近くまで行動するなんて、ほめられないような気がするな。
テント場は相変わらず一人ですが、小屋の方もあんまり入ってない様子。何 故か生ビールだけは売れるのですが、ちょっと待て、酔っ払って下山するつ もりか?僕もどうしようもないのんだくれだが、僕らの安全は何かあったときにかけつけてくれる人に担保されている。こんなところで自分から事故に近づいていく権利はない。行動中の酒は慎むべきではないか。
小屋の人が言うところによると、やっぱり日帰りが多いですね、とのこと。 まあ、人それぞれの都合があるから強くはいえないんだけど、何か寂しいも のです。それに、遅くとも四時、できれば三時には行動を終了したいものです。

 で、問題の水ですが、…やっぱり余ってしまいました。ごめんなさい、水の 一滴は血の一滴、なのですが、すこし余計だったようです。で、水に余裕が あるので、水場のある場所限定の海草サラダをやってしまいました。水で戻 して、戻した水は地面に吸い込まれていきます。うーん、こんな使い方をす るために小屋で水を確保してるのではなかろうに、小屋番さん、ごめんね。

区切り線
写真 朝がはじまります。多分目の前のピークは権現岳だと思うのですが…
写真 赤岳の山頂に立ちました。赤岳へやってきたのは2度目です
写真 行者小屋の様子。手前がテント場になっています
写真 えーっと、多分ふりかえって赤岳方面を写した写真だと思います
写真 硫黄岳の山頂へやってきました。写真ではガスってますが、そんなに天気は悪くなかった筈です。
写真 天狗岳の双耳峰が見えてまいりました。今日はあれをこえるのです
写真 生ビールです。うひょー!!
写真 黒百合ヒュッテの様子


最終更新日: 2016/07/22 by htmltophp.php




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