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八月十二日(縦走十七日目)
島々宿〜岩魚留小屋〜徳本峠

 間もなく、朝がやってきます。時計を見ると、どうやら三時を回ったところ のようです。目を覚まして、すこし呆とします。目の前の島々谷行きの道路 を、何台か車が通りました。多分登山者のものではないでしょう。まだ先に は何軒か民家があります。
 雨は予想に反して、夜半から小降りに変わりました。そして、今は雨具が要 らない状態です。とても土砂災害が起きるほどの降水量があったとは考えら れません。この位ならいけそうです。今日は登高です。とにかく、停滞か、 悪くしたら迂回を強いられることを覚悟していましたから、駒を進められる だけでも有難いことです。とにかく、明日は横尾ですから、今日は岩魚留小 屋までいって、岩魚留でテントを張ります。岩魚留まで行けば、あとは尾根 筋だから多少悪天になっても道が崩れる心配はないでしょうし、エスケープ も上高地の方が近い。とにかく今日は岩魚留まで駒を進めておきたいところ です。

 ガラスの左足の筋は、相変わらず調子がよくありません。かばいながら行く ことにします。島々から入って、二俣までは林道歩き。ですが、その先が問 題です。島々谷歩道は過日の台風の影響で通過に細心の注意を要する所があ ります、云々と入り口に書かれていました。でも、島々谷「登山道」ではな く、島々谷「歩道」です。多分大丈夫、とばかりに先へ進みます。
 結果、何箇所か登山道が崩れ落ちて高まきをしないといけない場所がありま したが、その程度です。そんな大げさに掲示を出すほどひどく荒れたところ はありませんでした。
 徳本峠越えは、長年憧れたルート、そして日本アルプス登山の初期を支えた 歴史ある登山道。
 昭和三〇年位までは、バス代を浮かすために島々から徳本峠を歩いたといい ます。これだけ整備されていれば、釜トンネルは要らないな…という印象を 持ちましたが、でも、上高地へ入るたびにこの距離を歩くのか、と考えると、 やっぱり釜トンネルはあった方がいいのかもしれません。でもさ、あのルー トを観光バスがひっきりなしに走っているのを見ると、やっぱり何かおかし いんじゃないか、という気がします。

 二俣を過ぎると、まもなく吊橋がやってきます。行き橋という名前がついて います。すぐに戻り橋という橋で右岸に戻ります。川筋を歩いていきます。 時々桟道に変わります。道は悪くありません。周囲の展望はなく、正面も樹 林の中です。雨は降ったりやんだりで雨具を手放せません。登山者はこんな ルートでも多少はいるようで、何人かが追い越していきました。みんな荷物 は大きくありません。中には明らかに日帰りと思われる一〇L未満の大きさ のザックを背負っている人までいました。多分今日中に徳本峠をこえて、上 高地へ下ってしまうのでしょう。
 まもなく、ほぼコースタイム通りの時間が経過します。そろそろ岩魚留小屋 が見えてきてもいい頃だな、と思った頃、左岸目の前に廃屋が見えてきまし た。こんなところに廃屋か…と思って、近づいてみると、それが岩魚留小屋 でした。どうやら管理人は不在にしているようです。といいますか、この小 屋、本当に営業しているのでしょうか。とても北アルプスの山小屋には見え ません。岩魚留小屋に泊まるつもりなら、予約は必然と思います。

 小屋の前で昼食をとって、さてどうするか考えます。僕はテントなので別に 小屋番がいようといまいと全然関係ないのですが、ビールが欲しい。今日入 山した人はみんな岩魚留小屋は通過して先へ進んでしまったようです。

 ここはもう少し距離を稼いでおくことにします。今日の目標は徳本峠に変更 です。岩魚留から一時間三〇分位沢筋を歩くと登山道は沢から離れて尾根を 駆け上がります。なかなかの急登です。沢から離れて間もなく力水という水 場へやってきます。水場には水場と書かれた道標が立っていますが、僕がこ れかな?と思って汲んだ場所は水場の一〇m位下でした。徳本峠の小屋には 水がありません。ここでしっかり汲んで、またずっしりと重くなりました。 沢から離れて一時間三〇分くらい歩くと徳本峠へ出てきます。天気は、完全 に雨に変わっています。が、ここまでくればもう多少荒れても大丈夫です。

 徳本峠には誰もおらずひっそりとしていました。先に上がってきた人はみな 徳本峠をすでにこえて、多分上高地を目指しているのでしょう。小屋でテン トの受付をして、今日は体が冷えています。とりあえずビールよりも暖かい ものが飲みたい。コーヒーを飲ませてもらって、その後テントを張ります。 が、このテント場は実に蚊が多い。あちこち食べられそうになっては叩き潰 す蚊との戦いがはじまりました。
 もう雨ですので外へは出たくありませんが、しばらくすると騒々しくなって まいりました。どうやら上高地から上がってきて、明日霞沢岳へ行くパーティ が上がってきたようです。後ほどビールを調達するために小屋を覗きにいっ たら、結構小屋には人が入っていました。この場所ですが、徳本峠経由で霞 沢岳へ行く人でそれなりににぎわうようです。この雨ですので、テントは僕一 人でした。少し風もありましたが、テントを風が当たらない向きに考えて張っ たので特に何も起こることはありませんでした。

*コースガイド

徳本峠越えのルートは、登山道も明瞭で、あまり歩かれていない割にはしっ かりした道だと思います。徳本峠までは島々駅から八時間くらいありますの で、だいたい徳本峠で一泊になると思うのですが、上高地までは徳本峠から 下りと水平の二時間半ですから、頑張れば日帰りで巡ることも可能です。

島々谷林道の通行止掲示場所には車が三,四台くらい止められそうなスペー スがあります。今時代徳本峠を越える人は、はっきりいって変わりものです のでこの位スペースがあれば十分足りる、といった感じではないかと思います。

岩魚留小屋の水場は怪しい感じです。小屋番が入っているときはどうか知り ませんが、僕が行ったときはとても水場と呼べるような状態ではありません でした。最悪沢水を煮沸すれば飲めるとは思いますが…

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写真 この日も写真が1枚で申し訳ない。こちらが岩魚留小屋の写真です。どうみても廃屋にしか見えないでしょ?


最終更新日: 2016/07/22 by htmltophp.php




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