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八月十三日(縦走十八日目) 
徳本峠〜徳沢〜横尾〜槍沢〜殺生ヒュッテ

 朝は少し遅い時間におきだします。ガスは出ていますが、雨は降っていない ようです。靴と靴下は昨日の雨でびしょびしょです。今日はしんどい一日に なりそうです。今日の目標は一応横尾山荘です。が、横尾までは二時間の水 平道歩きと一時間半のくだりで都合三時間三〇分。多分先まで行くでしょう。 横尾の次は槍沢ロッヂですが、槍沢ロッヂには個人的に嫌な思い出があるので槍沢での泊まりはありえません、横尾の先といえば、 もう殺生になってしまいます。殺生までは九時間。結構しんどいプランです。

 朝テントから出ると、昨日小屋に泊まったグループがテント場まで出てきて います。南アルプスからやってきたんですよ、という話をすると、みかん持っ ていきなさい、って渡してくれます。もらえるものは何でも有難いのですが、 生ゴミはしんどいのです。ゴミにも重さがありますし、何日も持ち歩きます からそのうち発酵してきて素敵な匂いがしてきます。でも…やっぱり生もの はうれしいんです。後で乾燥させることにして、ありがたく頂くことにしま す。

 徳本峠から明神へは、非常にいい道がついています。これをテクテクと下っ ていくと、右手に車が一台止まっていました。ということは、車で入れる位 の道だということです。そして、傾斜がほとんどなくなる頃、白沢出合で上 高地から徳沢へ向かう道と合流です。この瞬間、太平洋と、日本海手前一五 キロ地点(称名の滝)の間が赤線でつながりました。バンザイです。でも、 通りかかる人はいぶかしげです。そりゃ、こんな何の変哲もないワケのわか らんところでバンザイしている登山者なんか、そうそう見られるものではな いでしょう。
 これで上高地へ戻ったら、上河内岳上高地(かみこうち−かみこうち)縦走 と名前をつけるところです。われながらいいネーミングを思いつきましたが、 もういけるところまで行くしかありません。上高地で終了、は頭にはないの です。

 今日は、明神岳はガスの中です。何も見えませんから、黙々と歩くしかあり ません。白沢出合から小一時間歩くと徳沢へやってきます。世間では今日か らお盆休みに入るようで、歩いている人の多いことといったら!今年は上高 地への道路が崩れているので上高地は静か、と聞いていたのですが、仮設の 道路が完成して、今まで人が少なかった分もまとめてドッカンと人が入った ような印象です。徳沢園の前なんか渋谷と見まごうばかりの人出になってい ました。

 徳沢園で食事を頼みますが、何を頼んだかは忘れてしまいました。なにしろ、 メモ用紙一枚持てないところまで軽量化しています。この山行中、ただの一 文字もメモを取っていないのです。が、値段は覚えています。七〇〇円でし た。ですので、多分月見そばか何かを頼んだのでしょう。徳沢園で三箱目の ばんそうこうを仕入れて、再び足の手当てです。ばんそうこうは八箇所に増 えました。多分昨日の雨で靴下が濡れたまま歩いたのが良くなかったのだと 思います。そのせいで、靴擦れは増える一方です。歩くと熱い痛みが襲って きます。でも、もう行くしかないのです。

 徳沢から横尾をこえて槍沢へ。新村橋あたりまでは退屈な水平道歩きですが、 新村橋を過ぎるとじょじょに標高を稼ぎはじめます。槍沢ロッジは手元の高 度計で標高一八〇〇m。三〇〇mくらい標高を稼いだ計算ですが、実は朝い た徳本峠の方が標高は高いです。槍沢ロッジも人は大入りでしたが、隅のほ うに荷物を下ろせるだけのスペースはありました。ここで荷物を下ろします。

 天気は、上の方はガスに包まれていますが、まあまあ持ってくれているよう です。時間はまもなく一二時になろうとしています。ここは思案のしどこ ろです。槍沢のテント場(ババ平)まではあと徒歩三〇分。殺生までは三時 間三〇分です。殺生到着は多分四時でしょう。一〇時間行動のしんどい一日 になります。念のためここで受付して、上へあがってからどうするか考えて もいい。でも、槍沢の小屋に入るのは僕の体が拒否します。今日は行く気分なのです。一二時直前になって荷物を背負い、 いざ殺生へゆかん。頑張って歩くことにします。

 ほどなくババ平へやってきました。もうすでにテントは沢山設置されていま す。この脇に水場がありまして、誰かがこの水場でビールを冷やしています。 が、そんなことはお構いなしにビールの上から手と顔を洗って先へ進みます。
 大曲のあたりには、まだ雪渓が残っていました。といっても、歩くのは綺麗 に整備された夏道。あまりのんびりはしていられませんが、ゆっくりと歩い ていきます。ふりむくと空の高みにヒュッテ西岳の色とりどりのテントが見 えました。
 そして、もう少し高度を稼いでくると西岳の左側に常念岳の三角形が見えて きます。少し青空も見えてきて天候も回復してきたようです。これは槍の展 望も期待できそう。早くもワクワク感が漂ってきます。
 グリーンバンドの直下の最後の水場で二Lの給水。殺生もまた水のない小屋 で、有料で分けてはいるのですが、極力自前でなんとかするのがクリーンな 登山。殺生までは一時間です。少し重荷に耐えて一時間歩くことにしました。

 グリーンバンドをこえるとようやく槍が見えます。見え…あれ、ガスの中じゃ ん。なんと槍の穂先はガスの中です。何の展望もありません。がっかりです。

 予想通り、四時を少し回った時間に殺生へ到着しました。テントの受付と、 今日もビールです。よく飲む人だな。小屋の前のテラスに座りこんで、今日 は寒い一日なので、ビールをちびちびとやります。入り口のみえるところに座って、下から上がってくる人 に「あと一m、あと五〇センチ、いらっしゃいませ〜」なんて声をかけるのですが、 実はもう動きたくないのです。もう下ろした荷物を、目の前のテント場まで 背負っていきたくない。小一時間くらいその場所に座っていたでしょうか。 いい加減テントを張って夕食にしないと真っ暗になってしまうので、いい時 間を潮にテントを張りにいきます。テントを張って、次はトイレですが、も う靴擦れがひどくてまともには歩けません。うぎゃー、と声を出したいのを 我慢して、徒歩五分の小屋裏のトイレまで出かけます。
しばらく見ていると、肩の小屋あたりまでは見えることがあったのですが、 ついに槍は姿を見せることはありませんでした。

*コースガイド

徳本峠〜徳沢〜横尾〜殺生間は登山道もよく整備されており、道を間違える ようなところは皆無でしょう。ただ、ガスっているときはうっかりして氷河 公園の方へあがってしまう可能性は〇ではありませんので、天狗原分岐のあ たりでは少し注意が必要かもしれません。天候が多少悪くても特に危険なと ころはないでしょうが、雷のときは注意が必要です。このルートは長いこと 槍が見えず、グリーンバンドをのりこえてやっと槍が見える、楽しみは後で タイプのルートです。

徳本峠からいった場合、殺生までのコースタイムは九時間で、上高地から歩 いて殺生までいくのと時間的には大差はありません。通常は槍沢ロッジに宿 泊した方が楽だと思います。

区切り線

写真 いよいよ靴擦れがひどくなってまいりました。
写真 こちらは別の角度から
写真 横尾の小屋の前から撮った写真です。人だらけです。
写真 こちらは殺生の小屋。


最終更新日: 2016/07/22 by htmltophp.php




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