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八月十八日(縦走二十三日目) 
針ノ木小屋〜針ノ木岳〜スバリ岳〜岩小屋沢岳〜種池

 一日歩いて疲れた筋肉の補修にはアミノ酸が必要です。で、ちょっと高い ですが、ビーフジャーキーとアミノ酸サプリメントは長期山行では欠かし ません。ビールを一本おごって、あちこちで買い物したので種類がいろい ろになっていますが、最後に買ったいちばん大きい袋のビーフジャーキー をあけて提供します。長期山行ですから自分が食べる分さえ苦しいし、大 したものはもてません。これが精一杯のおもてなしです。

 小屋を出発する人の足音で目をさまします。どうやら、二組くらい先にいっ たようです。ツェルトの彼は目がさめたときにはすでに出発していました。 多分今日は足をのばすのでしょう。おそらくは、冷池まで行くのではない でしょうか。もしかしたらキレット小屋まで行ってしまうのかもしれません。

 朝は辛く、目が覚めてももっと寝ていたい衝動に駆られます。でも、雨に 降られないうちに頑張っておきたい。
針ノ木岳へは一時間の行程。あんまり記憶にありません。もう、毎日ガス ばかりで、うつむいて歩く癖がついてしまっています。針ノ木はずいぶん 昔からいつか立ってみたいピーク、と思っていましたが、来てみたら何の ことはありません。蓮華岳の方がよほどいいな、と感じました。

 靴擦れの影で、静かに筋の痛みがやってきます。大した痛みではありませ んが、明らかに筋がダメージを負っているのがわかります。これを悪くし てしまうとリタイヤです。無理をせず、腕にできるだけ荷重を分担しても らって足への負担を減らしながら歩きます。

 針ノ木岳からは大くだりした記憶はあるのですが、大登りした記憶はあま りありません。もう、荷物もだいぶ軽くなってるし、それに、今年はしん どい南アルプスをすでに歩いています。多少の登りごときではへこたれな い体になってしまっています。ただ、だいぶ岩がちなルートだったのは覚 えています。スバリ岳でもほとんど展望はありませんでした。
 赤沢岳あたりへきて、ふと左を見ると、下に黒部湖が見えています。そし て、下のほうに建物が見えています。おそらく立山ロープウェイ(立山黒 部アルペンルートの一部)でしょう。僕は立山へは行ったことがあります が、実はあれに乗ったことがないのです。どうやって行ったかって?ウフ フ秘密。それはね、新穂高に車をとめて、そこから歩いて行ったんです。 剱岳登るのに、槍から歩いていった、と言うと大抵は驚いてくれるもので す。
 岳人のあこがれの二つのピーク槍と剱を結ぶ槍剱縦走は二年前だった。最初から最後まで雨続き。あれが、大病する前の最後の縦走になった。

 そして、その右手には何本かの雪渓が見えました。おそらく上のピークが 剱岳でしょう。格好いいピークですが、登るのはもうこりごり。見るだけ で結構です。その、見るだけのピークも、今日はガスの中で目にすること ができません。

 赤沢岳で登山道は少し向きをかえます。目の前に鳴沢岳が見えて、新越山 荘はその向こうでしょう。岩小屋沢岳あたりまでは展望があります。新越 山荘まで一時間半もかかるようには見えなかったのですが、でもやっぱり 一時間半かかりました。新越山荘へついたとき、丁度隣でテントを張って いたグループに追いつきました。

 新越山荘で荷物を下ろして、昼食に入ります。頼もう〜カレーお願いしま す。もう空腹には勝てません。昨日に引き続いて今日も小屋で昼食です。 我ながら情けない山行だと思いつつも、全部たいらげてごちそうさまです。 岩小屋沢岳を過ぎるあたりまでくると、なにやら人が座っているように見 えます。こんな所で座って何してんだ?と思って、もっと目をこらして見 ると、人ではなくサルでした。それもえらい数です。ここはサル山だった のか?そういえば、あちこちに緑色っぽいサルのものと思しき糞がいっぱ いありました。

 珍しいものを見たあとは樹林帯を歩いていきます。新越山荘から二時間く らい歩くとあたりは柏原新道と似た雰囲気になってきました。雰囲気的に いって小屋が近い感じです。ほどなくして、右手にテント場が現れました。 先の二張りのテントはすでに張られています。一番奥を陣取ったらしいの で、僕は手前、と思って手前に荷物を広げます。

 まだコースタイムでいうと三〇分位小屋まであります。ここも小屋とテン ト場が大きく離れているのか?と思ったのですが、どうやら僕の足が速かっ た、もとい、コースタイムが甘かったみたいで、小屋はテント場から一〜二 分歩いたところでした。小屋へいってテントの受付をすると、注意書きを 書いた紙をくれました。いわく、「奥からつめて張ってください」うーん、 何とも面倒臭い。それでみんな奥に詰めて張ってたのか。なるほど合点。 テント場へ戻って、荷物を奥に移動して広げなおしです。先にテントを張 らなくてよかったよかった。でもって、今日もまた二つテントとお隣さん です。
 それにしてもこのテント場、どうしようもない位蚊が多い。いくら国立公 園内で殺生が禁じられているとはいえ、自分の腕に止まっていま血を吸お うとしている蚊くらい叩き潰しても文句は言われないだろう。止まったそ ばから叩き潰しますが、きりがありません。諦めてテント場を放棄して、 小屋の前のテーブルに陣取って、ビール…おいおい、またビールかよ。し かも五〇〇ml缶でいきます。で、携帯電話が入ったので天気予報を取っ てみます。今度こそ、しばらくは天気が持ちそうな感じです。船窪あたり を歩いていたときよりは少し靴擦れはよくなったのですが、ようやく一呼 吸おけるようです。
 ちびりちびりと飲んでおりますと、隣のテント組もやはり蚊に負けてでずっ ぱりです。南アルプスから歩いてきた、と言うと、そんな変なやつには初 めて会ったとかいって、生ビールをおごってもらいました。ごちそうさま です。ありがたく頂きます。ごきゅごきゅごきゅごきゅ、ぷはー。またゴ チになってしまいました。だんだん乞食山行になりつつありますが、貰い 物ばかりしていては悪い気がします。明日は物をもらわないようにしよっ と。

 で、一通り楽しんで、冷えてくる頃にテントへ引き下がります。しばらく すると、お隣さんがやってきました。テント場で幕営料取られるなんては じめて、なんて言い出すから、なんだこいつはと思ったら、大雪山からト ムラウシへの縦走をしたとか言い出す。うん、僕はこの縦走は交通機関の 都合上諦めたんだよね。なんだ北海道の人なら、どこの幕営指定地も管理 人がいなくて無料だと言っても合点がいく。で、山は二年ぶりで、五竜ま で縦走するつもりだったが扇沢から種池へ上がってくるだけでも大変で、 明日はこのまま下るとか言い出した。ちょっと百名山ハンターのケがある が、とにかくビールを一本飲ませて、明日ここにテント置いて鹿島槍行っ てこい、と言ってやった。ピークを踏まない登山ほど不毛なものはないし、 折角来たのなら1つ位ピークは踏んでもバチは当たらんだろう。
で、おごるだけではアレなので、自分の分も一本買った。すなわち、僕は 今日ビール五〇〇缶→生ビール→ビール三五〇缶、とバカみたいに飲 んでしまった訳だ。で、酔っ払いに任せて冒頭のように手元の貴重なビー フジャーキーを差し出してしまった次第である。まあ、ビーフジャーキー 位あってもなくても大差がない。なくなりゃアミノ酸サプリメントを余計 に口につっこんでおけば済む話だ。

 夕刻日没間近になってくると、テント場から見える小屋の後ろに、大きな 三角形の山が見え出した。どうやら爺ヶ岳が姿を現したようだ。山名を確 認しようと小屋の方へ歩いてみたら、何か騒然としている。何が起きたの かと思ったら、どうやら鹿島槍が姿をあらわしたらしいのだ。ちょっと奥 まで行ってみるが、どうもイマイチよくわかりませんでした。でも、見え たというのだから見えたのでしょう。
鹿島槍も、なかなか見て楽しめる山と思います。まあ、多分明日は晴れる ことでしょうし、明日を楽しみにすることにします。

区切り線
写真 針ノ木岳の山頂にきましたが、こっちのピークより蓮華岳のピークの方がいいピークと感じました。
写真 えーっと、あれは多分立山の方じゃないかな、と思うのですが…違うか。
写真 新越山荘が見えてきました
写真 季節外れのニッコウキスゲです。ちょこっとだけ咲いていました。


最終更新日: 2016/07/22 by htmltophp.php




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