サイトマップ | 更新停止のご案内 | このサイトについて

   

8月9日

今日の日程はちょっと長いが百間洞まで。本来の予定では 一応荒川小屋、ということになっているが、実は中岳避難 小屋と荒川小屋の間は1時間しか離れていない。悪沢岳の 往復はCT3時間半だから、トータルで4時間半。さすが にこれは短いが、翌日百間洞まで行けば明後日聖岳に上っ て丁度の距離だ。3時間登って赤石避難小屋なら7時間半。 これはなかなか手ごわいが中途半端。さらに2時間半先の 百間洞まで行けば、2日で1日分の行程短縮になる。赤石 避難小屋からはずっと下りだから山頂までいければ後はた いしたことはない、とかなんとか唆されて、えーじゃあ百 間洞まで、などということになった。
小屋組の朝は遅くて、3時半頃に目がさめる。4時頃にな ると起きだす人が出てきたので、このへんでおきて、空身 で悪沢岳へ向かう。まだちょっとライトがないと辛い状況 だが、空の方はだいぶ明るくなりはじめているのでじきに 明るくなるだろう。
悪沢岳の標高は3141mで、中岳の標高は3083m。 トータルすると60mの登りだが、一旦2900m付近ま で下りないといけない。おまけに悪沢岳と中岳の間ののコ ルには小ピークが2つも。伊達に行き1時間50分ではな く、まだかまだかと下りつづけ、さらに距離を伸ばして下 りるといった様相。痩せた尾根を伝ってとりついた250 mの登りは足場が悪く、かなり上りづらい。ようやく上り ついた、と思ったら、そこはコブで、本物の山頂はもう少 し先にある。実荷だとかなり辛そうだが、空身なので50 分そこそこで到着し、望外に日の出に間に合ってしまった。 非常に綺麗な日の出だった。富士山と日の出と並んだ写真 を撮る。カメラと三脚がなければもっと早かっただろう。 後ろから荷揚げ用のフレームザックを背負った人がやって くる。とすれば小屋番の人しかいない、と思ったら、やは りそうであった。ヘリは年1度しか飛ばさないそうなので、 毎日千枚小屋から荷揚げしているのだろうか。4時間近い のぼりゆえ、荷揚げとすれば結構きついはず。まさか椹島 から、ということはないと思うが、かなり長い時間戻らな い様子。
彼とはここで別れて、僕は日の出を見た後5時5分頃下山 開始。小屋へ戻るほうは45分だった。数名とはすれ違う が、昨日一緒に歩いた、本日椹島へ下りる予定の一行がま だこない。どうしているのかと思ったら、まだ小屋にいた。 赤石へ登る予定のおじさんも6時出発で準備をしていた。 行動食をちょっと口にして、このおじさんと相前後して出 発。結構足が速くて、僕が小屋を回りこんだときには、す でに3分先の中岳に登頂していた。塩見岳をバックに写真 を撮ってあげて、ちょっと話をしていると、元気のいいお にいさん登場。かっこいいマニュアルのカメラ片手に短パ ン。えらく軽装なので、荒川小屋からのピストンだという ことはすぐわかる。彼、悪沢から北岳見えました?なんて いうものだから、見えなかった、というと、今回の行程で 全然見えないんだよなあ、だって。何のことかと思ったら、 彼、なんと畑薙ダムから入って悪沢を往復して畑薙ダムへ 下山するのだとか。要するに、今後僕と同じコースを歩く ということ。僕も荒川小屋にテント置いてあって百間洞ま でいくんで、だそうなので、これで勇気百倍。後ろから来 る人がいるというのはとても心強いものだ。
私どもは先に失礼させてもらい、中岳の分岐から荒川小屋 の方へ下りていく。典型的な氷河地形であるカールの見本 のような中にお花畑。ちょっと時期的には遅かったが、そ れでもなんとか咲いている状態の中を横切って下る。天気 は最高の状態だ。同行のおじさんはちょっと暑いというこ とで服を脱ぐ。僕の方は先に下りて水場で水の確保。ちょっ と時間はかかってしまったが、7時20分頃荒川小屋到着。 小屋回りは若干森っぽいが、とにかく展望の利く最高の場 所だ。小屋の方も建てられたばかりのようで非常に綺麗。 朝を食べていなかったのでここでラーメンをお願いした。 荒川小屋から大聖寺平までは、とにかく声も出ないほど素 晴らしい。とても日本の山とは思えず、ネパールか何かの 高い台地をトレッキングしているような感じだ。まさにど こかの新世界紀行を地でいっているような感動的な景色の 中、若干登り気味の台地、砂礫地の歩きやすい道を、そし て王者たる風格の赤石岳を正面やや左に見ながらトレイル を進む。綺麗に晴れ渡った空に丁度良い気温。そして、歩 くと心地よい風が吹き抜ける。本当に「最高だ−」しか言 葉にならない。
いったん大聖寺平で休憩を取り、これから向かう登りの道、 あと2時間20分の大斜面が待っているが、とにかく素晴 らさに圧倒されて、疲れている余裕がない。後ろは右に悪 沢岳の量感。左は前岳の大崩壊地を望み、峻険で格好いい 山肌からすっと大聖寺平へ伸びる稜線。そして赤石岳の美 しい斜面。
一緒のおじさんもわりと快調に登っているようで、別のお じさんを追い越す勢い。あそこのニセピークまで行ったら 休憩しましょうー、なんてバカな言葉も出る位楽しくて仕 方ない。やはりちゃんと食べたせいだろうか。実に気持ち のいい晴れやかな登山だ。今日は赤石で泊まることは考え られなかったので若干水を少なめに持っているのも効いて いるのだろう。幅の広い砂礫の斜面を楽しく登っているう ちにあっという間に400m登りきり、3030ピーク到 着。思ったよりはちょっと距離があったが、無事ここで休 憩することができた。追い越したおじさんはひぇーニセで すかあ、などと言っていたが、ごめんね。
小赤石までは50mの登りですぐ。小赤石から赤石までは 100mちょっとあるので、同行のおじさんは荷物をデポ して、僕は対斜面に下りるので荷物を持って、いよいよ本 丸の赤石岳に挑む。左側には若干雪田が残っていた。ちょっ とガスがあがってきた感じだったので、やっぱり山は10 時までが勝負ですね、なんて話をしたら、よし10時まで にあがるぞ、っておいおい。
さすがに空身の人と一緒ではペースも上がりすぎだが、ほ とんど疲れも感じずに赤石岳の山頂に到着した。時間は10 時5分前後で、若干コースタイムより早いくらい。おまけ に、さっきまでガス気味だったのに、今はすっかり晴れて いる。まさに最高という言葉にふさわしい山頂だった。
彼とはここでおわかれ。写真をおくってくれると言ってい たが、残念ながら筆記用具の持ち合わせがなく、そのまま 別れることにした。
僕はちょっと寄り道をして、赤石避難小屋へ。小屋前に並 んでいるジュースを見て、無性に「なっちゃん」が飲みた くなっていたのだ。で、赤石避難小屋へ立ち寄って、オレ ンジジュースくださあい、といったら、「きりり」がでて きた。んーまあいいかあ、と思ってちょっと休憩させても らって、コースの確認。百間洞まで2時間くらいですよね、 って聞いたら、ゆっくり歩いて2時間半位です。なんてヘ ンなことを言うんです。まあいいや、と思って下りにかか る。元の登山道に戻ると、えらく大きな荷物を持ったご一 行が登ってくる。どちらへ?と聞いたら、予想通り北岳だ とか。頑張れよ、学生!
僕は彼等が登ってきた方向へ下っていく。下りはぐるっと 赤石岳を半周したあと、さらに反対へ90度折れて稜線に 乗る。下る一方だ、と聞いていたのに、ちょっと下ったら いきなり登り。うーんこれは精神的にダメージがでかいぞ。 で、山頂の小さなピークを2つばかり超えたところで、大 きく下りはじめる。当面は砂礫地でかなり歩きやすいもの の、さすがに荷物が重くてひざに負担がきている。1人追 い越していった人はだいぶ先へ行ってしまった。だいぶガ スがあがってきていたが、時間的にはまだまだ全然なので、 焦ることはないと言い聞かせてやや谷筋になっているとこ ろを下りる。表側とは全然様相が違い、鉄分の多い赤い石 が剥き出しになった斜面だ。まさに赤石岳。もっとも、こ の山はご神体であるようで、長野県側では別の名で呼ばれ ているようだ。
赤石岳は長野と静岡の県境にあるが、赤石山頂から登山道 はいったん長野県側へ入り、少しいくと静岡県側へ大きく 入り込む。そして、稜線にのったところで登山道は県境に 戻るのだ。今は静岡県側の斜面を大きく下っている。目一 杯降りきったところで一旦ステップになっているようで、 そこに道標が立っているのだが、ここに書いてある数字。 百間洞、2時間。わが目を疑ったが、たしかに地図を見る とコースタイムは2時間半とかかれている。なんで小屋の おじさんが「ゆっくり歩いて2時間半」と言ったのか、こ れで謎が解けた。って、そんな謎といても仕方ないってば。 で、ここからは人の頭大の石でできた、礫岩の大斜面のト ラバース。若干下り気味ではあるが、斜面を横切る大トラ バースだ。上を見上げると山頂付近からほとんど重力に逆 らうことなくまっすぐに斜面は続いている。当然自分の上 の方にも岩がごろごろしている。おまけにかなり崩れた形 跡もある。崩れた後つけられたと思われる道標のペンキは かなり風化しているようなので、ここ1〜2年の崩れでは ないようだが、あまり重力に逆らう気のない岩のこと、い つ崩れてくるかはわからない。スピード=安全だ、と、言 い聞かせて、上の様子を気にしながらちょっと頑張ってこ こを通過。無事稜線である馬の背にのっかった。ここでも 若干の登り。どこが下りばっかりじゃー!!
若干の上り下りを繰り返しながら、馬の背を進む。さきほ どのトラバース道は馬の背から丸見えなので、3030ピー クで追い越したおじさんはそろそろかなあ、と思って様子 を見たが、誰もやってくる気配はない。赤石避難小屋泊ま りにしたのかなあ、朝見たおにいさんもやってこない。彼 はテント泊なので赤石で泊まることはないだろうけど大丈 夫かなあ、と様子をうかがいながらかなりガスってきた登 山道を行く。要するに、今僕の前後1時間内外の場所には 人っ子1人いない状況にある。夏のアルプスでこの静寂は 貴重なので、しっかり堪能しながらも、さすがに天気の状 況が良くなく、いつ雨が降ってきてもおかしくないのでハ イマツに覆われたやや細い尾根をちょっと急ぐ。
やがて広い台地に出るが、ここが百間平。この一角に座り 込んでいる人発見。彼等もわかりきっていることだと思う が、一応声をかけておくのが礼、ということで、あと1時 間ちょっとですから(雨の降らないうちに)頑張ってくだ さい、などといっておいたが、そこから5分も歩くと、百 間洞40分、と書かれた標識が。どうもこの標識、時間が ちょっと厳しすぎ。地図の方も結構厳しいところがあるが、 一部はこの標識を丸写ししたのでしょう。他の山域と比べ ると、コースタイムで予想した時間より余計に時間がかか ることが多い。この道標で40分とかかれている距離は地 図では1時間となっている。
ここで稜線の右側に入り、登山道は長野県へと移動する。 尾根と尾根との間につけられた道に入った先、ちょっと下っ たところで再びライチョウ発見。ここでも子育てをしてい るようだ。後ろからさきほどの2人組がやってきたので教 えてあげて、僕は写真をとらせてもらって先へ進む。ちょっ と道が折れると、砂礫のつづら折りに道が変わる。毎度の ことながらこいつは登るのには好都合だが下るのは辛い。 さきほどの2人組に先に行ってもらい、僕はその後をトボ トボと歩く。結構情けない状態だが、しばらく行くと稜線 を離れて樹林の中に入り、沢の音も聞こえてくる。
地図を見る限りテント場が稜線にあって、そこから5分ば かり下ったところにあるように見えるので、これは行き過 ぎたかな、と思いつつちょっと下ると、ありましたテント 場。すでに学生団体が巨大なテントを張っておりました。 6人用とか、そういう大きいやつはきっと使い勝手が悪い だろうに、おっきいやつが3張りも。学生ってタフだねえ。 っていうか、もう少し装備を考えた方が、きっと楽に登れ ると思うんだけど。若いうちから楽しちゃいけないのかな。 で、とりあえずザックを置いて、受付。下り5分は伊達じゃ なくて、森の奥にちらっと見えるのが小屋らしい。いやあ あそこまで歩いていかないといけないのかあ、などと思っ て、いきなりメゲる。雨が降りそうだったので、雨具を一 応持って小屋まで歩き、受付。ビールとカップヌードルも ついでにゲットして戻るが、結構下の方にもテントを張れ る場所があったのでそちらに移動してテントを張り、さっ そくぬるくなったビールを頂く。名前に似合わず静かでい い場所だ。沢はかなり流量が多く、幅50cmくらい。も うここまでくると飲用にはちょっと不安だが、大丈夫とい うことなので一応使わせてもらう。すっかりできあがって お昼も食べ終わった頃、朝会ったおにいさん到着。いやあ やってきましたねえ。ということで、とりあえず二言三言 会話を交わし、彼はテントの受付へ。彼は明日聖平へ行っ て、明後日聖平から直接下りるのだとか。なんとコースタ イムにして10時間の行程である。最終日なんだから元気 が出るでしょだって。いやあタフですね。えらく太いパイ プのテントを張ったらオプティマス8Rなんかを広げて、 高校生の頃はこれが一番軽かった、だって。ここで気づけ ばよかったんですけどねえ。
相前後して、3030ピークで追い越した彼も到着。さら に隣にテントを張り、さらに会話。明日聖平へ行く組の人 とは随分話をさせてもらった。さすがに距離が長いのと人 が少ないことから連帯感が出るのだろうか。
で、彼は同じ道のりなので、一緒にのっけてって身延線の 駅で降ろしてあげるよ、なんていうので、もう渡りに船。 僕はCT10時間は歩いたことはないけど、最後3時間の 登りを含む9時間のコースは歩いたから、もう怖いものは ない。光岳へ行くのとでは3日違うので、光岳は次の機会 に登るとして、今回は明後日下山を決行することにした。 でも、冷静に考えてみると、彼は中岳山頂でCT3時間半 のビハインドを持っていたんだよな。空荷でも2時間はか かる。で、最終的に1時間か1時間半位しか違わないから、 要するにどこかで1時間は詰めている計算だ。ついていけ るのかなあ、おまけに彼はマラソンのTシャツ。かなり危 険かもしれない。なんて心配しながらの会話。
よーし下山だ、と決まれば、余った食料はみんなおなかの 中。午後は日がくれるまで常になにか口にしているような 状況だった。明日はいよいよ最後の3000m峰、聖岳に 登頂する。ここから7時間、まったく小屋がないので、歩 き始めたら絶対に聖は越えないといけない。ちょっと力が 入る。今日昨日とちょっとオーバーペースで歩いていて疲 れが残っているので全身マッサージ。太もも前側は左右と も触ると激痛。カメラの重量がかかる右肩は触れない位腫 れ上がっていた。
天気は悪いのだが、なかなか雨が降ってこない。3時になっ ても4時になっても天気がもっている。それどころかやが て日が差してくる。大沢岳と中盛丸山の綺麗な錐形のライ ンがテント場から良く見え、そして左の方の影に少し聖岳 が見えている。少しばかり遠そうに見え、しかも聖までの 稜線のアップダウンの厳しさは中岳避難小屋で散々聞かさ れたが、覚悟はもう決まっている。
午後の4時間位を体いじりに費やして、ちょっと遅めの8 時に就寝。シュラフに入るが、足が熱をもっているのが実 によくわかる。いつもならちょっと寒い位なのが、足元が 非常に暖かい、というか、熱いのである。おかげで横にな るなりあっという間に眠りに落ちた。

ラーメン   700
ジュース   400
幕営料    500
ビール    600
ラーメン   300
---------
9日    2500

8月9日の写真

最終更新日: 2016/07/22 by htmltophp.php




mixiチェック

mailto:mailaddress

tozan.net - http://tozan.net