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8月11日

いよいよ最終日の朝がやってきた。3時頃目がさめるが、 一応4時頃から朝食。そこへ件の人登場。聖沢を降りる つもりだったんだけど、ここまできたら上河内岳へ登っ ておきたい、とのこと。3時のバスに間に合うかどうか わからないけど、畑薙方面へ降りるとのことで、彼とは 今日もまた行動をともにすることになった。

4時50分頃に撤収開始。今回も僕の方が早かった
(装備が新しい分撤収に時間がかからないタイプなのだ) ので、一足先にスタートさせてもらった。テント場から だと小屋の前を通っていくのだが、例の2人組、今日一 緒に畑薙へ行く彼が丁度出発の準備をしているところで、 一緒にスタートした。

畑薙方面へは、一旦もときた道を5分ほど戻って分岐に 出たところで、左へ折れる。右は聖岳だ。左へ折れると これが深い森。おきぬけの最初の1時間なのでゆっくり 行かせてもらうが、僕と2人組はほぼ同じペースでつか ず離れず歩く。1人の彼は結構足が速いようなので先に いってしまった。この頃日の出を迎えたのだが、なにし ろ森の中で、今日は朝からかなり濃いガスが出ている。 木の間から霧の中に浮かぶ日の出。すっきりした日の出 ではなかったが、これもまた1つの味だ。
本日は上河内岳までの500mの登りを登ってしまえば、 あとは下る一方。1000m以下まで1800m以上も 下る計算だ。山容は台形っぽくなっていて、事実上南岳 まで400mのぼってしまえば、あとは稜線をのんびり 歩いて100mを上がるだけ。きついのはそこまでだ。 森の中を約1時間半頑張ると、南岳の手前で森林が切れ る。最初に出てくるのは大きく右が崩れた細い稜線で、 それが終わると左のハイマツ帯に入り、台地の上に立つ。 南岳、という名前はついているが、際立ったピークでは ない。ここまで2人組とほぼ一緒だったが、僕は先行。 同行の彼はすでに2人組を追い越して、すぐ下にきてい る。やはりあの足は只者ではない。
ここからは楽しい稜線散歩。ずっとかかっていたガスも すっかり晴れ渡り、昨日登った聖岳の姿が立派に見えて いる。左の高いのが前聖岳。右が奥聖岳。その間に高低 差はほとんどない。正面の上河内岳は緑を基調とした柔 らかい山で、小さいカールの中を登っていき肩まで行く。 カール内では当然展望はきかないが、望外に見ごたえの ある上河内岳を目指して、写真をとりながらゆっくり登 ると、そこが上河内岳の肩。上河内岳はここから空身で 往復約20分だ。
先行していた彼は丁度降りてきたところらしく、8時ま でに茶臼岳にいければ、などと行って先にいってしまっ た。同行の彼はカールを4割がた登ったところまできて いるので、一旦待っていることにする。少々ここで休憩 を入れ、行動食を口へ。三脚を取り出して、彼が到着す ると同時に僕は山頂への砂礫の道を登る。山頂へつくと、 写真を撮ってくれ、とデジカメを渡される。南アルプス のような深い山域では電池が持たないだろうと思って、 これ、電池どうですか?などと聞いたら、記憶容量の話 を延々とされてしまった。山頂で数枚写真を撮ったらす ぐ下山。山頂に行っている間の10分ちょっとの間に完 全にガスってしまい展望はなくなってしまった。
三脚を持ったままなのでちょっと歩きづらいのだが、な んとか駆け下りて、丁度登り始めた彼とすれ違い。待っ てる?といったら、どうせ茶臼で会うから先に行って、 とのこと。ブロッケンでかかっている、と言われたのだ が、残念ながらはっきりとしたブロッケンにはならなかっ た。
下山して肩に戻ったところで水を口にしていると2人組 到着。もう行ってきたんですか?とのことだったが、ま あ山頂まで走って往復すれば10分程度だから、ほとん ど変わらないペースである。僕はこのまま茶臼方面に。 彼等も上河内岳へ登頂するようだ。結局彼等とはここで 会ったのが最後だった。時間は7時5分頃であった。
次の目標は茶臼岳のコルまではCT1時間40分だ。最 初は砂礫の斜面を降りる。奇岩竹内門と地図には書いて あるが、なんとも変わった岩の斜面を通って、やがて森 の中へ入る。このへんまでくると、ガス具合もかなり酷 くなってきているので、道を間違えないように慎重にコー スを決めながら進む。踏み跡は結構しっかりしているの だが、南アルプス特有の、砂礫の広場からいきなりハイ マツ帯に入るようなところで、下に明白な踏み跡がつい ていないような場所では、どうしても広いほうへいって しまうのが人間の心理で、僕も塩見直下など、何度か騙 されて誤ったコースへ入ってしまったので、ここでは道 を間違わないよう神経を使う。ちょっと小走りのような 感じで降りていくが、途中30分位行ったところですで に後ろに気配が・・・彼、早すぎ。ここに人がいたので、 彼はちょっと話し込んでいるようだ。
ちょっと頑張ってスピードを上げ、窪地の草原の中へ入 る。地形からいけば地図上の窪地だけど、時間的に言え ばまだだよなあ、などと思いながら、この窪地、という か、湿原のなれの果て、のような場所を先へ進む。やが て若干登って登山道に戻る。ガスの状態が非常によくな いので、地図とコンパスで方位を確認していたところで 彼は再び追いついてきたが、地図通りなら茶臼のコルま でここから先は登りなので僕の方が速い。果たして地図 通りで、やや登り気味の森の中の登山道を少し行くと森 が切れて崩壊地に出る。ここをつづら折りしながら60m 近く登って稜線に出るが、ここは岩とハイマツの台地。 どっちへ進めばいいのか、足元からではわからなかった ので地図を見ると稜線を忠実に進めばいいようなので、 稜線を忠実にトレースする。2分もすると登山道が出て きたのでこれで正しい、と確信。後ろの彼は25年も登 山をやっているので、若干遅れてはいるが心配せずに先 へ進む。風が猛烈に強く、霧を激しく飛ばしている。視 界はほとんどない状態で、稜線にあるケルンがはじめて 役にたった瞬間でもある。石の踏みがはっきりしない場 所へ出たので、ケルンを頼りに真っ直ぐ進むと、若干の 下りを経て茶臼岳のコルへ出た。
左へ行くと茶臼小屋経由畑薙ダム。まっすぐ行くと茶臼 岳(2604m)だ。茶臼岳は顕著なピークではなく、 単に稜線上にある一ピークにすぎないので、僕はあまり 登ろうと登るまいと差異はない。現在の天気だと全く展 望もないことだし、僕自身は登らずに降りてもいいな、 と思っている。彼は一応茶臼から悪沢まで登るのがルー ルだから、と言っていたが、何のルールなんだろう。今 までの行動からして多分登るだろうな、とは思いつつも、 一応茶臼のコルで待ってどうするか聞いてみることにす る。上空で時折青空が見えることがある。が、霧はかな り厚く、視界が広がることは全くない。風の方は非常に 強く吹いている。
意外とこの待ち時間は長かった。4〜5分待ったであろ うか。若干迷いそうな場所があったのでちょっと心配に なったが、やがて登場した。
彼は、すぐそこなので登るそうだ。ただ寒いので風除け を着るので先に行ってくれ、とのことで先に行かせても らう。山頂までのコースタイムは30分だが、20分か からずに山頂へ出る。展望は全くないので標識の写真だ け撮って降りようとすると、そこには先行していた彼が。 コルに出たとき、もうずっと先行しちゃったんだろうな あ、と思っていたが、彼は実荷で登っていただけだった。 思わず3人で10分くらい話し込んで、3時のバスに間 に合うだろうか、なんて言っていたので、うーん厳しい か、などと適当な返事をしておいたのだが、よくよく考 えてみるとまだ8時20分すぎ。畑薙ダムまで4時間50 分、林道1時間とすれば、2時半頃には下山できる計算 だ。
僕は車に乗せてもらうつもりだったのでバスの心配はし ていなかったのだが、以前調査したときは、畑薙発のバ スというのは始発が9時過ぎで、次が最終12時20分 だった(1日2本)どうやらこのほかに3時5分発、と いうバスもあるそうなのだ。
頑張れば間に合いそう、ということなので、この足の速 い3人、ガシガシ行く。茶臼岳のコルで荷物を回収する と、一旦2時間下の横窪峠小屋で集合、ということでそ れっ!
10分下の茶臼小屋まではほぼ一線だったが、ここまで くるとさすがに暑い!3000mの稜線では感じたこと のなかった夏の暑さだ。下界に近づいていることを感じ るが、僕は長袖なのでさすがに辛い。いきなりはだける。 茶臼小屋から走って走って横窪峠まで40分。CT2時 間だからコースタイムの3分の1で歩いた、というか走っ た計算だ。このときの時間が9時20分。昨日一番時計 の同行の彼を振り切るペースで、横窪で5分程度彼を待 つことに。トイレへ行っている間に彼は降りてきた。
ここで1本前のバスに間に合うんじゃないのか?という 意見が出て、時間を調べると12時20分。ここからバ ス停までCT4時間5分なのでCT通りだと間に合わな いが、1時間詰めれば間に合う、ということで、再びそ れっ!・・・・と思ったが、さすがに辛い。横窪を出る とすぐ登りになるのだが、すっかり亀。うーんなんで登 りなんだあ、などといいながら登り。やっぱり1度休ん でしまうと先ほどのように調子が上がらないが、調子が 出てきたところで僕は2番時計。小屋泊の彼はずっと先 へ行ってしまったようですでに見えない。昼のバスにな んとか間に合わすつもりなのだろう。同行の彼はずっと 後ろ。彼と最後に会ったのは中の段の上だった。
1つ下のウソッコ沢までCT1時間30分を40分強で 降りたところで、再び小屋泊の彼と合流。彼は湧水を飲 んでいた。かなり暗く、流れの速い場所。このへんまで くるとお昼のバスにかなり間に合いそうな可能性が高く なってきたので、ろくに休みもとらずちょっと頑張るこ とにした。
ここから先は深い沢沿い。水量はかなり多く、鉄ハシゴ を下ったり、つり橋を渡ったりと、かなり人工的な道を 先へ進み、5つ6つ釣り橋をわたって1000mを切っ たあたりで対岸へ入る。40m位登っているので、ここ が最後の登り、ヤレヤレ峠か、と思って、最後の気力を 振り絞っての登り。しかし、登りきったところには標識 がない。どうやら単に沢から離れるときののぼりだった、 ということを発見して脱力。この後はちょっと距離を伸 ばしながら登り気味の登山道を歩いていくが、足の消耗 は激しく、歯を食いしばって登る状態。思わず、ヤレヤ レ峠をみつけたとき、あれを上りきったらちょっと休憩 入れさせてください、と言ってしまった。
まさにヤレヤレのヤレヤレ峠で1〜2分座り込み、水を 飲んで再出発。逆算して11時ジャストには出発したかっ たのだが、ヤレヤレ峠を出たのは11時3分。ここから はすでに畑薙湖も見えているので、ちょっと遅いけどす ぐだろう、と思っていたが、意外と距離が伸びる。
林道歩きは1時間5分だからバスが出る12時20分か ら逆算すると11時15分までには林道に出ておきたかっ たのだが、これが15分頃になっても、横へ行くばっか りで下へ降りない。やがて17分頃大きく左へ登山道が 曲がると、30m位下に水面が見えた。あそこまで降り ればいいのか、と思っていると、その先で右カーブし、 ちょっと降りたところで橋の構造物を発見。いよいよ畑 薙大橋にのっかった。水面から20m位あろうかという 高さ。対岸の支柱が見えないほどの橋の長さは山の中で は考えられない。いよいよ下山だ。
足元には、あの日歩いた大井川の清流。まさに大井川特 有のあの白い河原、雄大な流れが広がっていた。そして、 つり橋の揺れ。振り返ると今まで歩いてきた山が、つき ぬけるような青空の中にいる。空は高いが、そこはまさ に夏の暑さであった。もう、山の上の、あの涼しさは感 じられない。
橋の真中で、1枚写真を撮った。ウソッコ沢で休んでい た彼は少し後ろを歩いている。やや小走りに、バランス を崩しながら橋を渡った。
そして、あと3歩、2歩、1歩、到着!

11時20分、畑薙ダムの林道に降り立った。バスの出 発までにあとCT1時間5分を歩ききらないといけない。 喜び勇んでいる余裕もなく林道を進まなければならない。 が、すでにCT10時間を歩ききった足は踵に激痛。膝 にも痛み。靴擦れ3箇所。とてもしっかりと歩けるよう な状況ではない。おまけに林道は路面が固く、足に衝撃 が直接来る。最悪林道ダッシュの予定だったが、はっき りいって普通に歩くだけでやっとである。もう林道なの に、なぜか歯を食いしばって歩いている。

お昼のバスに乗れれば今日甲府まで行ける。3時だった ら富士で1泊だ。

沼平のゲートまでCT40分。逆算すると11時55分 には通過しないと間に合わないが、ここを11時53分 に通過。登山者用の駐車場、バス停も遠くに見えている。 ここまで頑張ってバスに間に合わない手はない。もう、 足を止めないように頑張るだけだ。
若干の登り下りの後、左カーブを抜けて、道路は駐車場 へと続いていた。12時10分のことだった。
林道入り口のところで臨時の交番が出ていて、下山届に 記入させられる。これで無事に下山したことになる。お 茶を一杯頂いたが、我々のために働いている人からお茶 をごちそうになるとは夢にも思っていなかった。
あまり時間がなかったので手際良く記入してバス乗り場 へ。久しぶりに見る自販機で「なっちゃん」を買おうと したが残念ながら売り切れ。
こちらでは荷物の重さを測っており、10kg以上のザッ クは荷物料がかかります、などと言っている。見た瞬間 アウトだと思いますが測ります?とか言ったら、律儀に 測ったものの、持ち上げた瞬間バネがぶっち。秤は哀れ バラバラになってしまいました。あわわわわ。そんなに 重くはないと思うんだけどなあ(爆)
そして、どこかで見た顔。2日前、聖の周辺で一緒した 彼だった。彼は遅立ちのあと多分聖沢をまっすぐ降りて きたのだろう。なつかしい顔を見た気がしたが、お互い 疲れているのか、あまり話はしなかった。

バスは定刻3分ほど前に入庫。輝く湖面。澄んだ空。
同行の彼はまだ降りてこない。挨拶位はしておきたかっ たが、残念ながら再び会うことはなかった。
夏の残り香を名残に、バスの人となった。長旅の疲れで 静まり返ったバスの中で、ただ僕だけが車窓を見ながら、 あの、高く美しい峰々に想いを馳せていた。

午後3時。静岡駅に立つ。あとは甲府まで行き翌朝車を 回収するだけだ。東海道線と身延線を乗り継いで甲府へ 出て、駅前の安ビジネスホテルを使わせてもらった。登 山者の利用は非常に多いようで、ザックの扱いも慣れて いる。あまり気を使うことなく、さっさと食事に出て寝 に入った。

ジュース  130
バス 3830
電車 2210
ビール他  660
宿泊費 3500
食事 1900
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11日    12230

8月11日の写真

最終更新日: 2016/07/22 by htmltophp.php




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