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2002.8.15
 上高地→殺生
2002.8.16
 殺生→槍ヶ岳→双六小屋
2002.8.17
 双六小屋→新穂高温泉
2003.8.10
 新穂高温泉→双六小屋
2003.8.11
 双六小屋→鷲羽岳→黒部五郎小舎
2003.8.12
 黒部五郎小舎→黒部五郎岳→太郎平
2003.8.13
 太郎平→薬師岳→スゴ乗越
2003.8.14
 スゴ乗越→五色が原
2003.8.15
 五色ヶ原→立山→剣沢
2003.8.16
 剱沢→剱岳→奥大日岳→大日小屋
2003.8.17
 大日小屋→称名滝→称名駐車場

アドバイス
   

●剱岳に登ってみたい人にアドバイス


おそらく百名山の最難関、ということで、無理しても剱岳に登ってみたい 人、剱岳への山行を暖めている人は多いことでしょう。
僕自身は百名山に関しては「ほぼ」完登になりますが、僕の登った範囲で は、世間で言われている通り剱岳は最難、と考えていいと思います。それ も、かなり飛び出た最難、だと思います。

大雑把にいえば、「槍」、はあくまで一般登山道であるのに対して、「剣岳」 に関していえばどちらかといえばバリエーションに限りなく近い。


体力的には、剱岳は室堂から剣沢、剣往復−室堂下山、ですので、★★く らいと思います。問題は技術(というよりも、危険度)です。文句なしに ★★★はいいとして、

剣山荘からいった場合、およそ

     →     →    →
 剣山荘   一服剣   前剣   剱岳
     ←     ←    ←

となりますが、一服剣へ上がるのに、もう手を使うところが出てくる。 前剣〜剱岳間には落ちたら100%助からないところは山ほどあります。 それも、剣の落ち方というのは大多数の山とはちょっと異質です。多く の山では体力上の理由で、たとえばふんばりが効かなくておっこちちゃ う。剣の場合は、上の通り体力的にはさほどの山ではありません。落ち るときは1歩目からおっこちる。

槍でも落ちたら100%助からないところはある。では、剣とはどう違 うのか。それはひとえに危険にさらされる時間です。剣では往復4時間、 人によっては5時間以上も一瞬のミスが命取りになる時間が続きます。 3歩4歩の緊張感は続いても、5時間の緊張を続けるのはかなり至難で す。
いかに剣といえど、息を抜けるところはいくつもあります。座って休憩 せずとも、深呼吸して腕を回してあげるだけでも新しい緊張の活力にな るでしょう。

タテバイ、ヨコバイは有名ですが、正直に申し上げてタテバイは実に良 く整備されており、いっちょ剣に登ってやろうか、という人にとっては さほどの難所ではありません。高度感はありますが、足ホールドもしっ かりしておりますので、タテバイに関しては見た目といいますか、世間 で一般に思われているよりはるかに楽です。
鎖のアンカーはケミカルアンカーでガチガチに固めてありますので、よ ほど岩に異常がない限りは信頼に足るものと思います。鎖さえ離さなけ れば絶対落ちない。

ヨコバイは、僕はどれがヨコバイなのかさえわかりませんでした。ただ、 実際にはヨコバイで死んでいる人はかなり多いようです。どうも周囲の 話を総合的に聞いてみると、危険度としてはタテバイ<ヨコバイ、らしい。 が、これも鎖さえ離さなければ万一足を滑らせたとしても落ちることは ない。離さなければ、です。
片手で自分の体重を支える自信がありますか?

多少歩みが遅かろうと、徹底した3点支持が必要です。足を動かすとき は必ず両手とも岩か鎖を握っていること。この原則を破ったときには、 貴方は死を受け入れたものと剣岳にみなされることになります。

さて、鎖がついているところはいい。
問題は鎖がついていないところなのです。

僕は、もう地道に安全を重ねていくことしかないと思うんです。

まず、死にたくなかったら雨の日には登るな、ということが言えると思 います。フリークライミングなんかは特にそうですけど、雨の日にまと もなルートが登れることはまずない。剣の場合ガバガバばかりですけれ ど、それでも手や体が冷えて固くなっているときよりも、十分に柔軟性 があってしっかりホールドや鎖が握れるときの方が安全であることに異 論がある人はそうそういないでしょう。
要するに剣岳は最難、核心なわけです。1日2日3日、余計に時間を確 保して、剣沢に幕営しながらあせらずに期を狙う価値は十分あるのでは ないですか。何も、雨の日に余分なリスクを背負って登る必要は何もない。

荷物をどうするか、については難しいですが、僕は岩にぶつけて予期し ない力が体にかかったりして落ちるのが嫌だったので全部おいてきまし た。登頂時は水も持っていません。カメラさえ置いていってます。
ストックもって行く人は論外です。絶対に両手をあけておいたほうがい い。ザックにさしても上に出っ張った部分が岩にぶつかるかもしれませ ん。バランスが悪いところで予期せぬ入力があったりすると、体ごと谷 底へもっていかれかねない。

手は軍手ではなく、素手がやはり一番滑りにくいだろう、と僕は思います。

道具にしても、おそらく百名山な人はずいぶんあちこちを歩いて靴底を 減らしていることでしょう。その靴底ではダメなのです。新品を一皮剥 いたしっかりグリップするやつが必要なのです。張替え時期が近いので あれば、剣の山行の2,3ヶ月前くらいを目処に張替えをして、少なく とも1,2度の山行をして一皮むいておく必要があるでしょう。

すれ違うときは必ず山側に立って、その上で僕は必ず両手を岩に手をか けた上で道を譲っています。鎖を下るときは下に誰もいないのを確認し た上で「下ります」とコールをかける。前の人が次の鎖を握って自分の 前の鎖があいたら、次の鎖握ります、とコールをかける(前の人が足場 が悪くて一手手を戻すかもしれない。そのときに掴もうとした鎖が動い てつかみそこねたとしたら・・・)
ホールドに砂が乗っていたら砂を払ってから掴む。ホールドを掴むとき はひっぱってみてそのホールドが体重を支えてくれるのかどうか確認し てから体重を預ける−
さらに手ホールドのバックアップ(たとえば不意にホールドが破損して 左手がすっぽぬけたときに、右できちんと支えられる方向に力がかかっ ているかどうか)

タテバイから人がおっこってくるかもしれない。人の登っている下には 立つな、ということと、前のひとと間隔を取れ、ということと、前の人 のムーブ中は最悪の場合に備える体勢でいろ、ということ。

このほかにまだ考えなければいけないことはいろいろあるでしょう。


僕もそうですが、「剱岳」という名前に負けて腰がひけるのが一番怖い。 フリークライミングのトレーニングをした、というのは、非常にプラス になると思います。難しいのが登れる必要はありません。ただ、5.8〜 5.9クラスの、勘のいい人なら初日にでも登れるような難易度のルー トが正しいムーブで100%確実に登れるよう練習しておけば堅いと思 います。
実際僕も岩登りっぽいムーブ(体重移動)でのっけた足の膝を前に出し て体重を移したり、ないしはホールドの握り方1つとっても、これはパー ミングっぽい掴み方をすればいいんだな、とか、結構「そのものではな いけれどそれっぽい」技術の使い方を実際に剣岳でやってきました。
そしてそれ以上に、上述のような、フリークライミングっぽい安全性の 確保の考え方。さらにやることはやった、という自信に繋がります。
人工壁(ないしは外壁かもしれませんが)で培った技術の裏づけが自信 に繋がって自分の力量を発揮できる。
それはオーバークオリティかもしれないけれど、でも安全の確保に「こ こまでやれば十分」というものは、僕はないと思うのです。はっきりと 効果のある手段はみんなやっとけ、というのが僕からのアドバイスです。

剣岳に登りたい、と思っている人には、実際にはフリークライミングの 技術はいらないかもしれないけれども、フリークライミング自体決して つまんない遊びでもないし、技術以上のメリットがあるから、ぜひ回数 券1枚分くらいは練習しておくことをおすすめしたい。

握力はね、鍛えていったほうがいい。岩登りに握力は要らないけど、鎖 掴むのは握力勝負だよ。ただ掴むのと、人差し指と中指を上から親指で 押さえておくだけでもいざという一瞬にはぜんぜん違うと思います。



今年はなにやらちょっと不幸な事故が剱岳でありましたが、通常の時期 に通常の登り方であれば、赤実線のルートです。選ばれた人だけが登れ るようなルートでもないですし、僕が脅かすが如くいろいろ書かないと いけないようなルートでもない。おばさん達でも結構登っているし、そ れも途方もない数の人が登っている。

それでも踏ん切りがつかない、というか、やることはやったけど、まだ 剱岳なんてとてもとても、と思っている人には、3つの選択肢があります。
1つは、ガイドを雇って登頂すること。1日3万円くらいになりますが、 その金額でガイドは貴方の命を最大限守ろうとしてくれるでしょう。
100%安全とはいえませんが、ヨコバイで滑り落ちる、なんていうヘ マは起こりえないはずです。

1つは、早月尾根を登ること。室堂からに比べ距離は途方もなく長くな りますが、もともとの剱岳の正統的な登山ルート。室堂側ほどひどく悪 くはない模様です。

1つは、登らないこと。貴方にはまだ「登らない」という選択肢が許さ れています。登るのも勇気なら登らないのも勇気。何がしかの邪念があ るのでなければ、そんなに躊躇する山に登る必要はないはずです。

最終更新日: 2016/07/22 by htmltophp.php




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